あれは小学校二年生の時です。

夕方6時半の外も暗くなった頃。

一人で留守番をしているとチャイムの音が。

ドアチェーンをしたままで開けると、
そこに近所のおじさんが立っていました。
(奥さんがいた頃によく遊びに行っていた)

おじさんは

「ねえ、おじさんの所に遊びにこんか?」

と誘うのです。

私が断ると、おじさんは

「そうか、残念やな。お菓子あげるわ」

と言って、
袋入りの半分しか入っていない煎餅をくれました。

ドアを閉めた後に覗きレンズから、
肩を落としておじさんが帰っていく姿を確認しました。

で次の日、近所は騒然。

パトカーも来てるし。

連絡がつかないのを心配した奥さんが帰ってきて、
旦那さん(おじさん)が亡くなっているのを発見したそうです。

少なくとも、
死後2週間以上は経っていたようです。

では、私が昨日会った人は誰だったのでしょうか?

もし遊びに行っていたら、
私はどうなったのでしょうか?

いや、あれは夢だと思いこもうとしたのですが、
悲しく残ったお菓子がそうはさせてくれませんでした。

これは本当にあった忘れられない実体験です。

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