熊本の、神さまが在所している土地に遊びに行ったときの話です。

これだけで推測できる人はわかっちゃうと思いますが。

ネットから宿泊する宿に申し込み、
友人と待ち合わせて行き当たりばったりで
現地へ向かいました。

博多からバスで4時間弱掛かりました。

宿は最高点を付けたいほど良かったので、
もう一度行きたいなと思いますが
一緒に往った友人が二度と行きたくないと
涙ながら訴えるので叶えられていません。

他の友人だと都合が付かないんですよね。

残念です。

何があったかと言うと、
某神社で夜神楽があると言うので午後9時だか10時だかに
宿の人に神社に送ってもらいました。

帰りは迎えに来てくれると言う親切な宿です。

夜神楽が始まるまで時間があり、
夜の境内を友人と散策しようと歩いていました。

夜神楽はかなり有名なのでそのとき、
観光客は100人はいたと思います。

だから夜の神社と言えど、
人がたくさんいて友人も怖くなかったようです。

ただ境内の、
夜神楽を催す会場から少し外れると寂しくなります。

境内の周囲は木々がひしめきあっていて、
その神社は山の入り口にあるような作りでした。

友人はたくさん人がいる場所から遠ざかっていることが怖くなったのか
しきりに戻ろうと言ってきてましたが、
ふと前方を見ると境内敷地と山とを隔てる玉垣(石の柵のこと)を支えに
立て掛けている大きな笹が4本ありました。

笹は10メートルあったと思います。

風も無いのに
その笹の1本だけバサバサと揺れていました。

友人はそれを見て、
あまりの怖さに腰を抜かし座り込んでしまいました。

私は友人を隠すようにして、
笹に話し掛けました。

周囲からは変に思えたかも知れませんが
人もいないし、友人だけだし、
旅の恥は掻き捨てと言いますし。

「ひとり?」

と聞くとバサバサと振られます。

「この辺の人?」

と聞くと竹は振られませんでした。

違うようです。

「なんでいるの?夜神楽、見に来たの?」

と聞くとまたもやバサバサ。

「じゃぁ、付いてきないよ、
夜神楽の会場まで案内するから」

と言うと
今度は激しくバサバサと竹が揺らぎました。

それを見て友人は泣いてました。

メンタル弱すぎです。

最後に

「写真撮っていい?」

と聞くと、
バサバサと揺らいだので
写真を撮らせて貰いました。

で、写ったのが真っ暗闇の中に浮かぶ、
属にオーブと呼ばれるものよりも濃い火の玉。

さすがに友人は走って逃げていきました。

置いてくなよって感じですよね。

「ごめんね。友だち怖がりだからさー」

と言い、
とりあえず会場へ移動しました。

背筋がゾゾゾとしていたので、
あ、いるなーって感じです。

でも見えません。

こんな体験書いてても
霊感無いと言い切れる自分です。

そのまま夜神楽の会場に入り、
座っている友人を発見し、
横に座りました。

友人は激しく拒否ってきましたが

「ここは由緒正しい神社だ、何が起こるってんだ」

と言うと
何やら納得したようで反撃はなくなりました。

素直な友人で良かったと思います。

会場へつくと同時に背筋のゾゾゾが無くなったので、
きっとどこかで見ているのかも思い
周囲を確認していました。

ふと頭をトントンと叩かれた気がしたので、
天井に向けてデジカメで写真撮ったら、
綺麗な白いオーブが写りこみました。

おおっと思って友人に見せようと思いましたが、
ここで騒がれてもと思い、止めました。

他にもこれヤバイやつかも知れないと思われる写真がかなり撮れたのですが、
友人には内緒にしていました。

で、友人にとって
最大の恐怖が次の日の明け方に起こりました。

夜神楽の会場から宿に帰り、
明日は帰るだけの日となります。

あとは寝るだけです。

電気を消して寝たんですが、
ドーンドーンと言うとんでもない騒音で目が覚めました。

気がつくと
障子には薄っすらとですが
外から太陽の光りが差し込んできています。

ああ、もう朝か、でも何、この音、
としっかり意識が覚醒すると、
それは音だけではありませんでした。

天井にある板、
土壁のある壁2ヶ所、4枚の襖、廊下側の障子、畳が
震度4くらいの地震のように揺れ続けていました。

揺れているだけでなく
ドンドンと叩かれているような。

友人が設定した携帯電話の目覚ましがリリリリと鳴ると、
ピタリと振動が収まりました。

どうやら友人も起きていたらしく、
地震?と尋ねてきました。

とりあえず、嫌な予感してたんで、
そうかもねーと返しておきました。

身支度を整え、
宿の人が用意してくれた朝食を食べながら、
友人は宿の人に

「今朝の地震、凄かったですねー」

と言うと

「地震?ありませんでしたけど」

と返されてました。

「あ、じゃぁ、二階の人たちとか、
隣りの人が騒いでただけかもですね」

と友人が言うと宿の人は

「お客様のほかに宿泊されているお客様は別棟にいらっしゃるので、
それはありません」

と。この時点で友人は震えてました。

見るからに。

確かに平日で季節はずれの宿泊客な自分たちなのですが、
まさか同じ日に宿泊している客は5組だけで、
自分らがいた棟には自分らしかいなかったなんて知らなかったんです。

もしかしたら、
あの激ヤバな写真のせいかもと密かに思った自分は、
宿の人に不審がられるとわかりつつも
神社でお祓いできないかお願いしました。

宿の人は心得ていたようで

「わかりました。予約しますね。ああ、大丈夫です。
土地が土地なのでこういうことは慣れていますから」

と言ってくださいました。

「あんたのせいだ!」

と案の定、
友人から責められました。

違うと言い切れず、
撮った写真も隠していたので反論できませんでした。

謝りませんでしたが。

神社に到着し、
これ見よがしにデジカメを取り出した自分を見て友人は、
おいっと突っ込んできました。

長年付き合っているせいか、
気付くの早すぎです。

さり気なく置いたのに
勘が良過ぎる友人に驚きましたね。

宮司さんは笑ってました。

こういうこともありますよと。

で、本殿で宮司さんと一緒に激ヤバ写真を見ました。

友人はひたすら拒否って最後まで見ませんでしたが。

お祓いしたし大丈夫だろうと言う気持ちもあったです。

今でもその激ヤバ写真はあります。

その後、何も起こってません。

お祓い効果抜群です。

実は写真に写ったオーブの人、
その土地限定でずっと付いていたようで、
昼間でも写真撮るたびに
ひとつだけポツンと写真に写りこんでいました。

50枚くらい撮ったうち、
40枚くらい写っていたら、
これはもう意図的ですよね。

自宅に帰ってから気がつき、
友人に渡す分だけ加工させてもらいました。

正データはそのまま残してあります。

やっぱり記念ですし、
オーブの人に写真を撮らせてもらったので、
もしかしたら写りたかったのかも知れないと。

ただ友人がこの時より

「あんたと旅行行くときは泊まり無し日帰りで」

になりました。

こんな自分ですが、
未だに付き合ってくれている友人に頭が上がりません。

なんか笑い話っぽくなってしまって怖くなかったかも知れませんが、
友人にとって死ぬほど洒落にならなかったと言うことで。

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