1ヶ月くらい前、
職場に向かって歩いてる途中のこと。

その日は早番で、
朝の5時20分くらいだった。

まだ日が出てなくて暗い冬の朝。

二車線の道路の歩道を歩いてたんだけど、
前方に車道向きに立ってトングを持った男が止まってたんだ。

体を少し前にかがめて、
いかにもトングで歩道に落ちている何かを拾う一歩手前みたいな感じ。

男は60代くらいで細身、白髪で、
この寒いのに薄手の色あせたカーディガン一枚。

こっちから見ると俯いてて、
しかも横向きなので顔はいまいち分からない。

犬はつれてないけど犬のフんか何かあるのか?と、
一歩一歩その男に近づきながらトングの先に何があるのか目を凝らすも、
何もない。

しかも男はそのかがんだ状態のまま一ミリも動かない。

大きい道だけど、
早い時間だから私とその男以外人影はなく、
時間が止まってるのかという錯覚がおこる。

それとも頭のおかしな人で、
私がすれ違う瞬間に
そのトングを振り上げて襲ってくるんじゃないかとか、
いろいろ考えながら超こわごわ、だけど歩みを止めることもできずに、
とうとうその男の背の方から足早にすれ違う。

振り返ったら襲ってくるのではという恐怖感もあったが、
どうしても気になって数歩歩いたとこで振り返ったら、
男は跡形もなくいなくなってた。

家とか店が並んでるとこだったから、
そこに入ったのか?とも思ったが、
私が通り過ぎてから振り返るまで1~2秒の間に、
今まで10秒近く止まってた男が瞬時に動いてたとしたらそれも奇妙だし、
消えたにしても奇妙だとぞっとした。

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