昔とある地方都市のマンションに住んでた事がある。

ド根性大根って昔あったじゃん?

ああいう感じで
住んでたマンションの壁から
結構な太さの樹が生えてたんだよ。

昼間は子供達が登って遊んでるんだけど、
夜観るとマンションに手が生えてるみたいで
凄く不気味だった。

いつの頃からか子供達からは
ド根性世界樹って呼ばれる様になっていた。

散歩の時とかに目に付くが
枝に勝手にブランコを設置されてたり
秘密基地が建設されてたりと
子供達のやりたい放題だった。

ある日子供達の声が
夜中まで響いていた事があった。

家にも帰らねぇで何やってんだろうな?
って思って部屋の窓から覗いてみたのよ。

すると子供達が大声で騒ぎながら
樹の回りに集まっていた。

樹には大蛇みたいな下半身をした
真っ白な人間が樹に巻き付いていた。

それを男の子が取り囲んで

「すげーすげー」

と叫びながら
ケータイで写メ撮りまくってた。

女の子達は叫んだり泣いたりしていた。

こっちも驚いて

「なんだありゃ!」

って上から叫んだんだ。

すると白い大蛇人間は
樹の虚の中に入っていってしまった。

男の子達が棒で虚を突ついて暫く調べていたが
こっちを向いて

「もう居ないみたいでーす、
何か消えちゃいました!」

と言われたので

「分かったから今日はもう家へ帰りなさい!」

と言って解散させた。

翌日の昼間に樹の虚を調べてみたが
虚の中には小さな祠が入っているだけだった。

近所の老人会の人祠について聞いたが

「そりゃイワオーゾ様の祠だろう」

との事だった。

イワオーゾ様って何なんだろ?

そう聞いてみると老人会の人は

「昔から伝わるこの辺の龍神様だ」

との事だった。

あの樹は何度伐採しても建物を上に建てても
復活して生えて来て梅雨の時期には
様々な怪異を起こすのだそうだ。

あの日以来子供達は雨の日には集まって来て
意味も無く蛇みたいに樹にへばり付く様になった。

奇行の目的を聞いても

「こうするとよく雨が降るでしょ?」

とか意味不明な事しか答えなくなっていた。

老人会の人達は

「こりゃあ今年の農家は豊作だわ」

と言うだけで別に何もしなかった。

この奇妙な光景は引っ越すまでずっと続いた。

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