15年以上前の俺が大学に入学して間もない頃の話。

グロ注意。

俺の通っていた大学は郊外の山の上にあった。

しかも俺の所属している柔道部は全寮制で、
寮も大学の敷地内にある。

ある晩、寮の先輩=柔道部の先輩が
夜食の買い出しに付き合えと言ってきた。

ここはかなり田舎なので、
一番近いコンビニでも歩いて10分以上かかる。

しかしバリバリの体育会系なので、
先輩には逆らえない。

しぶしぶ付き合うことにした。

道中、先輩が怖い話ばかりしてくる。

この辺りは街灯もなく、
人通りも全くないのでひときわ怖い。

しかも目的地のコンビニの横には精神病院が建っており、
たまに奇声が聞こえたりするのだ。

この先輩は大学柔道の全国大会で見事3位に入賞した猛者だ。

いい人なんだが怒らすと怖いので文句も言わず聞いていた。

なんだかんだ話してるうちにコンビニの看板の灯りが見えてきた。

ふと先輩が立ち止まった。

俺「?…どうしたんですか?」

先輩「…コンビニの駐車場に誰かいる。」

…よく見ると、
女性らしき人が何やらユラユラしながら立っている。

先輩「…またか」

先輩の話によると、
コンビニの横の精神病院の患者が夜中にたまに抜け出すらしい。

とは言っても、
危険な患者は厳重に隔離されてるので抜け出すのは軽度の患者だけだ。

でもさっきの話でビビりまくってた俺は緊張感半端なかった。

先輩「いいか、絶対目を合わすなよ。
目が合ったら必ず話しかけられるから」

俺「はい、なんか怖いです」

先輩「怖くはない、面倒くさいだけだ」

先輩頼もしい。

少々ビビりながら
俺と先輩はその女性と目を合わさないようにコンビニに近付いていった。

視界の端でその女性を見る。

パジャマ姿だ。

しかも裸足。

やはり先輩の言うとおり、
隣の患者さんのようだ。

ユラユラ揺れているのは、
赤ちゃんの人形を抱いているからみたいだ。

でもなんか違和感がある。

いや違和感の塊なんだが
その人形がなんか妙にリアルというか。

無視するのも怖すぎたので
ちょっと顔を向けて目を凝らしてしまった。

人形ではなく干からびかけた赤ん坊の死体だった。

俺はギョッとなり、
その女性の顔を見てしまった。

当然、目が合った。

ギョャャーー!!

突然、女性はこの世のものとは思えない奇声をあげた。

先輩「ヤバい!コンビニに入れ!!」

俺は体が動かない。

先輩に腕を掴まれ、
コンビニに引っ張り込まれた。

慌ててドアを閉めたが、
その女性は奇声をあげながら外からドアを開けようとする。

先輩はドアを抑えながら鍵をかけた。

だが、すごい力で鍵も壊れそうだ。

俺も我に返り慌てて一緒にドアを抑える。

なんか無いかと後ろを見たら
コンビニの店員が唖然としてこちらを見ていた。

俺「手伝って!」

店員「は、はいっ!」

店員も事態が分かったらしく、
3人がかりでドアを抑えた。

が、女性が今度はドアをガンガン殴りだした。

強化ガラスで出来たドアは
ちょっとやそっとじゃ破れない。

だか女性は物凄い形相でガラスを殴り続ける。

女性の手は鈍い音をたて、
ガラスが赤く染まり出した。

次の瞬間俺は声にならない声をあげた。

泣きそう。

いや泣いてたか。

今度はさっきまで抱いていた赤ん坊の死体の足を掴み、
それでガラスを殴りだしたのだ。

赤ん坊の死体の砕ける音が聞こえた。

もう目は開けられない。

先輩「ヤバい!」

目を開けるとガラスに一筋のヒビが…

これは本当にヤバい、
破られそう。

先輩「オレが裏口から後ろに回り込んで羽交い締めにする!!
その間に2人でガムテープでグルグル巻きにしろ!!」

先輩が回り込む間、
店員さんと2人で必死にドアを抑えた。

今にもガラスは割れそうだ。

女の後ろに先輩が見えた。

羽交い締め成功だと思った瞬間、
先輩は宙を舞った。

投げ飛ばされたのだ。

女性はターゲットを変え、
地面に寝転がった先輩の上にまたがり
ガンガン殴りだした。

先輩は腕でガードしてはいるが、
すごい勢いで殴られている。

俺は慌ててガムテープを掴み、
先輩の救出に向かった。

その時、
パトカーのサイレンの音が聞こえてきた…。

結局、俺ら3人と
警官4、5人がかりでやっとその女性を取り押さえることができた。

どうやら誰かがこの騒ぎに通報してくれたようだ。

助かった…。

後日聞いた話によると、
その女性は育児ノイローゼで我が子を死なせてしまい、
精神異常になったらしい。

そして赤ん坊は生きてると思い込み、
その死体もその時まで決して離さなかったらしい。

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