四年前の話。

昼休みに大通り公園でのんびり弁当を食べていたら、
知らない70代位の老夫婦が近づいてきた。

「○○○○さんですよね?」

と俺のフルネームを言ってきたから

「はい、そうですが」

と答えたら、

「オオ!」

と二人とも感動しはじめて、

「いつも応援しています、ファンです」

とか

「サイン下さい」

と言われた。

何だかよく分からないまま旦那さんのシャツに、
筆記体でも何でもなく普通に苗字を書いたら、
手を握られながら

「大事にします」

と言われた。

周囲の主婦やサラリーマンも俺の顔を見ながら

『こいつ何者だよ、知らねーよ』

みたいな顔をしていたけど、
老夫婦だけ異様にテンションが高くて、
俺のベンチだけかなり悪目立ちしていた。

去り際に

「△△△(当時働いていた会社)でも頑張って下さいね!」

と言われ、
人間違いでもないことが分かって余計混乱した。

俺自身はファンが出来るようなことは全くしたことがない。

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