誰も信じてくれない本当の話。

小さい頃に、喋る犬みたいのと暮らしてた。

見た目は大人の人が馬の真似した様な感じで、
質感は獣というより粘土で作った様な感じだった。

さらに、暮らしてたというか常に身近に居て、
たまに姿を現すって感じだった。

でも俺が小学校に上がり、
次第にその犬もあまり現れなくなった。

週に1回見るか見ないかってくらいに頻度が落ちて、
しかも目が合っても知らん振りされたり。

俺には弟が居て、
弟は俺がその犬になかなか会えなくなってる時でも、
頻繁にその犬と遊んでいる様で、
よく話を聞かしてくれた。

そして小学3年生の時、
隣の家が火事になった。

俺は弟とベランダでその光景を眺めていた。

でもその光景に飽きて、
部屋に戻って遊んでたら、
部屋が物凄く暑くなってきた。

なんと、俺の家に火が燃え移り、
部屋が燃えていたのだ。

それで逃げようとしたんだけど、
階段の方は燃えてるしで逃げられなくなり、
部屋も凄く熱くて弟もワンワン泣いてるし、
子供心に『これ確実に死ぬ』とか思っていたら、
その喋る犬が出てきて、悠長な日本語で

「またいつもの暮らしに戻ります?」

とか言ってきた。

俺は意味も理解出来ないまま頷いた。

すると突然周りの風景が変わって、
弟と一緒に学校に登校してる風景になった。

弟も自分と同じ様な状況になったらしく、
不思議がっていた。

成人した今でも、
弟とその時の話をしたりする。

俺の誰も信じてくれない本当の話でした。

ちなみに、その火事の後もその犬は居て、
最終的に見なくなったのは高校入学直前くらいです。

弟も大体それくらいだそうです。

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