子供の頃の話です。

当事者ではなく、
傍観者の話ですみません。

当時は新興住宅地が各地に建設されていて、
私もそこに住んでいました。

その地区のはずれに大きな団地がありまして、
学校が終わるとよく友達と
その団地の前にある広場に集合したものです。

ある日、
いつものメンバーの中にK君がいません。

必ずと言っていいほど毎日来て、
けっこうリーダー的な存在のK君がいないのが不思議で、
友達に

「なんで今日、K君いないの?」

と聞いてみましたが、
皆わからないようでした。

確かに学校には来ていたのですが…。

その翌日もK君は広場に来なかったので、
学校で彼に聞いてみました。

すると…

「今、親に外に遊びにいくの止められてんねん」

と言うのです。

どういうことか?
と問いただすと…
以下、彼の話です。

K君が遊びに来なくなった前日、
皆が帰ったあと、
いつも見ない女の子が残っていたそうです。

彼は

『団地の子だろう』

と思ったのですが、
その女の子が

「こっちに面白いのがあるよ、ついてきてよ」

と言ったのだそうです。

スケベ根性があったのか、
K君は怪しむこともなくついていったのが、
その団地の一室のよう。

確かにその日、解散したあと、
K君がふらふらと団地に行くのを私は目撃していたのです。

「な~にやってんのかなぁ、Kは…」

と思ったのですが、
空腹に負け、
そのことは気にしていませんでした。

ただ、K君が見たという女の子は見た記憶はありません。

そして…K君は団地に入ってから記憶が飛び、
十数km離れた神社の森あたりにいたそうです。

運よく夏至近いころで夕方でも明るかったため、
彼は混乱するも近くに交番に行って、
親に迎えに来てもらったそうなのです。

親は誘拐ではないかと思っていたようで、
K君の外出は禁止となったというこです。

その後、
中学校でK君とは別々になって、
音信不通になっていたのですが、
高校の頃、駅でふと見かけたK君はかなりやつれてて、
別人のようになっていたのを覚えています。

で、つい最近、実家に帰って、
当時区長をやっていた人と話すことがあったのですが、
驚く話を聞くことができました。

新興住宅地の開発が進んでいた当時、
かなり奇妙なことが起こり、
K君みたいな事件も、
自分が把握しているだけで5件くらいあった。

一人は見つかっていない…と。

それが本当なのか、
今でも見つかっていないのかはわかりません。

そういえば、K君のことがあってから、
学校では

『誘拐事件もあるから、早く帰りなさい』

という注意もよく言われていたように思いますが、
あまり注意力のない子供だったので、
ほとんど気にしていませんでした。

実家に帰ったついでにその団地に行ってみましたが、
既に取り壊されており、
だだっ広い駐車場になっていました。

そこで、例の神社にも行ってみました。

特に怪しい雰囲気はないんですが、
ただ、森の中に子供サイズの小さな草履が落ちていたんですよね。

そして帰り際に、
駐車場に停めておいた車の上に
やけに葉っぱが乗っていました。

それが何となく不気味でした。

ただの偶然でしょうが。

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