小学生の頃、
父が運転する車に乗り海沿いを走っていた

後部座席には俺と弟が居たんだけど、
謎の線香ぽい臭いが充満してきて頭クラクラするし、
俺は窓際に腕を乗せ項垂れていた

ふと弟側から肩を叩かれた。

気がするってレベルではなくて
強めに3度しっかり叩かれたけど、
そちらを見ると誰もいなかった

意味不明過ぎて暫く考えたあと

「○○(弟)は?
お父さんお父さん○○いないよ?」

と言ったのを覚えている

初めて見る父の焦りの表情は何か怖かった

急いで車をバックさせていくと
多くの人だかりの中に倒れている人が見えた

父は車から飛び出して向かっていく

俺は車内から見ていたけど
倒れているのは弟だと分かった

そのあとはすぐ母親が来て泣いていた。

救急車も遅れて到着し
母と弟は運ばれていった

人だかりは父と俺が病院に向かうまで微動だにせず
ずっとそこに立っていた

老若男女様々いて幼い子供もいて道を塞ぎ続けていたんだけど、
父はそこに突っ込んでいった

でも誰にも当たらず
それどころか病院に着くまでずっと同じ人だかりが窓から見えていた

景色は変わっていくのに
その人達はずっと見えていた

みんなして満面の笑みを浮かべ
車内を覗くようにずっと見えていた

いま思い出すと鳥肌が立つ

あれは何だったのか

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