Oさんが小学校2年生の時のこと。

図工の授業で、
近くの神社に校外写生にいった。

時間が始まりOさんは写生をはじめた。

そこで不思議なことが起こった。

ほんの一瞬後、
先生が時間のおわりを告げた。

さらに不思議なことに、
Oさんの画用紙にはちゃんとお社の絵ができ上がっていた。

Oさんは混乱しながらも、
その絵をよく見ないまま提出したそうだ。

Oさんは

「われを忘れて描いてたんやろ」

程度で、あまり深く考えなかった。

学期末、Oさんの絵だけ返って来なかった。

しかし、あまり物事にこだわらないOさんは、
その絵のことをすっかり忘れてしまったそうだ。

そのうち学年も変わってしまい、
担任だった先生も転勤になってしまった…。

…Oさんが六年生になり、
卒業もまじかになった頃。

それは卒業式の三日前、
全校で大掃除に当てられた日のことだった。

Oさんのクラスの扉に2年生の女の子が立って、
Oさんの名を呼ぶ。

先生の机の奥から古い絵が出てきたという。

それは、あの神社の絵だった。

その絵をよく見て、
Oさんは不思議な気持ちになったそうだ。

そこには近くの神社の小さいお社が、
拙いながらも一生懸命な筆致で描かれており、
なかなか写実的な絵に仕上がっていたという。

ある一点をのぞいては…。

それは、お社の屋根の上に、
透きとおるような青い絵の具で、
きれいな女のひとの顔が、
お社よりも大きいくらいに描いてあったことである。

このお話にはよくわからないことがいっぱいありますが、
それよりも話の最後に、

「あれは、神さんの顔や。
あんときの俺には見えてたんやろ」

と言い切ったOさんの顔が妙に印象的で、
それ以上、追究するつもりになりませんでした。

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