ある梅雨の日の出来事。

会社で昼食を食べているときにそれは起こった。

友人と会い向かいの席で話をしながら食事をしていると、
席の横にある窓から友人が何気なく雨の降る景色を見た。

食堂は2階なのでその窓からは町が見渡せる。

窓の外を見る友人に異変が起こった。

景色を食い入るように見たまま固まってしまったのである。

そして表情が見る見る恐怖に歪んでゆく。

「おい、どうしたんだよ」

話しかけても動かない。

友人の視線につられるようにして
自分の視線も窓の外へ行く。

外は雨だった。

そして異常な物にすぐ気付いた。

目の前に立ち並ぶ電柱。

その電柱のてっぺんに近いあたりに老婆がいた。

それも腰から上だけが、
斜めに突き出していたのである。

雨ではあったがその老婆の顔は
やけにはっきりと見えた。

その老婆の顔は二度と忘れられないほど異様であった。

その目も鼻も口も、
つまり顔の造作の一つ一つが
奇妙なほどに顔の中心に寄っていたのだった。

そして不釣合いなほど
大きな口は顔が歪むほど笑っていた。

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