これは本当に最近の話で
俺の母親方のおじいちゃんの話だ

俺は長男として生まれて
じいちゃんにとてもよくしてもらってた

お菓子を作る工場で働いてたらしくて
16の時から死ぬほどしんどい思いをして
ばあちゃんを食わしてたんだぞ
なんて話をよく聞かされた

そんなわけでじいちゃんの家は裕福とは言えなくて
月の少ない小遣いでタバコと安い酒
図書館で借りた日本史の本を読んで満足だ
って言ってるようなおじいちゃんだった

そんなじいちゃんが
ズボンを履くときに片足で立てなくなるなんて言い出して
病院に行くと癌だと言われた

いつも元気に朝から散歩してたじいちゃんが
みるみるうちに病院のベッドで痩せて行くのを見てるのはつらかった

あんまり長くないと本人も分かってたのか
家族と順番に1対1で話したいと言い出した

なら子供からということで
いとこの弟から始まって
ばあちゃんが最後っていうことになったんだが

じいちゃんが俺はばあちゃんの後だ
生まれるのが早かったんだから話し相手ぐらい最後にせぇと
頑なに言うもんだから結局俺は一番最後になった

そうして順々に話していって
ばあちゃんが泣きながら病室から出てきて
ついに俺の番になった

じいちゃんに何はなそうかって考えてたんだが
全然まとまんなくてじいちゃんの話をただ聞こうと思って入ったら
じいちゃんはこう切り出したんだ

俺は昔から貧乏で
おまえに残すような財産も作ってやれなかった

俺みたいなやつが何かを残そうとするなら
何かにすがるしかなかったんだ

きっと困ったときに何かに役に立つかと思って
ずっと貯めてたものがある

俺のタンスの切手を入れているケースを
見つからないようにお前だけで見ろ

こうやって何か形として
俺が生きた84年をお前に残せるのはそれだけだ

その話を聞いたあと
俺は先に病院からばあちゃんの家に帰って
言われた通りに切手ケースをみた

少し大きいケースをあけると
記念切手が多く入っていた

きっと思いでのあるもんなんだと思って取り出して見ていくと
その下にクリアファイルにまとめられた新聞がでてきた

なんで新聞なんか?と思ってみると
宝くじの当選番号の一覧がびっしりと切り取られて整理されてた

まさかと思ってケースをひっくり返してみると
輪ゴムで止められたたくさんの宝くじがでてきた

毎年買ってたみたいで
月の少ない小遣いから必死に貯めてくれたのかな
って思ったら少し涙が出た

せめてじいちゃんが生きてるうちに換金して
好きだった日本史の本なんか図書館じゃなくて
新品で好きなだけ買ってやろうって思って換金所にもってたんだ

みんな知ってたか?

宝くじって換金の有効期限あるってこと

かなりの枚数あった宝くじだが
大半が期限切れで
少し前に買った宝くじのあたり5100円にしかならなかった

俺はじいちゃんの俺の生きた証だ、大事に使えよって言葉に
どう返事してやればいいかわからなかった

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