私が小学4年生になった時、
4階の女子トイレの個室(全部で6)の壁には
小さな押し花の壁飾りがあった。

個室ごとに違う押し花で、
紫陽花だったり
パンジーだったり
すみれだったりした。

私が好きなのは
右から3番目のすみれの押し花の個室で、
トイレに行く時は必ずそこに入ってた。

んで、
ある日トイレで用を足している時、
ふいに目の前のすみれの壁飾りが目にはいった。

何となく壁飾りを捲って裏を見てみると…

「昭和63年、○○ちゃん安らかに」(←確か里美だか里子)

とマジックで書いてあった。

凍りつく私。

しばらく動けなかった。

生徒のイタズラじゃない。

大人の字だ…。

何なのこれ…

ここで誰か死んだの?自殺?事故?病気…?

私は怖くてトイレを飛び出していた。

そして今年、
私はボランティアで
母校のこどもまつりを手伝いに行った。

私は4年生のバザー担当で、
結構忙しく時間中にトイレに行けなかったので、
バザーが終わってからトイレに行ったんです。

トイレの入り口の戸を閉めてふと気付く。

すっかり忘れていた…。

ここってあのトイレだ。

一瞬にして嫌な汗をかいたのを覚えています。

3番目の個室を覗いて、
思わず「ヒッ」と小さく叫んでしまいました。

そう、まだあったんです。

すみれの壁飾りが。

黄ばんで、
すみれもすっかり色褪せていたけれども
確かにあの時の壁飾りです。

もしかしたらあの時の事は、
私の勘違いだったのかもしれない…

私は震える手で壁飾りを裏返してみました。

その瞬間、私は裏側を見てしまった事を猛烈に後悔しました。

相当な年月が経ちすっかり薄くなったマジックの文字

その上に、まるで最近書き直したかのように

「昭和63年、○○ちゃん安らかに」

とはっきりとマジックでなぞり書きが。

「うわっ!」

私は鳥肌がたつのをはっきりと感じ、
用を足すのも忘れてトイレから飛び出しました。

もう当時と違い古い先生もいないので
あのすみれの壁飾りの事は誰にも聞けません。

あれは一体何だったのでしょう…。

これが私にとって一番洒落にならない怖い体験です。

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