30年位前の話

当時俺は小学生の低学年だった

友達の少なかった俺は
家の前の山へ1人でよく遊びに行ってたんだよね。

ある夏の日に山へ上がる途中
女の子が座り込んでたから声をかけた

多分「一緒に遊ぼうよ」みたいな感じでね

名前はたしか
「ひとみちゃん」とか言ったっけか。

放課後よく遊ぶようになって
晩御飯もたまにうちで食べてったりした。

学校は隣の小学校だそうで
家は近いんだけど学区が違うんだよね。

いっぱい遊んでる

いっぱい写真撮ったはずなんだけどさ、
最近懐かしくなって実家のアルバム見たらどこにも写ってないのな。

おかしいなぁって思って親に聞いてみると

「だれそれ?」

だってよ。

よく一緒に飯食ったりしたじゃんつっても
誰も覚えてないのな。

でもよく考えたら俺も顔覚えてないの。

ひとみちゃんと遊んだ記憶はあるんだけどさ。

顔わかんねぇのな

あれかな?

毎日山で1人で遊んでる哀れなぼっちを見兼ねた狸か狐が化けてくれて
一緒に遊んでくれたのかなぁ?

それとも幽霊だったのかなぁ?

どっちでもいいけどさ、
また会いたいなぁ。

もっかい会ってあの時はありがとねって言いたい。

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