今から25年ほど前の話

俺学生結婚してて、
俺の通う大学のすぐ横に寺があってその寺には墓地もあって、
駅から大学校舎に行くのに墓地を抜けると近道だったの。

9月のまだ暑い日に黙々と歩いてたら、
暮石の横に猫の首が…

(気持ち悪~)

と思ったけど時間ないから、

(後で坊さんに伝えよう)

と華麗にスルー。

校舎に着いたら、
掲示板にデカデカと『休講』の文字。

遊ぶ金もないし仕方ないから帰宅する事に。

んで、さっきの猫の事を坊さんに伝えようと元来た道を戻ったら、
猫の首がないし…

(まぁイイか)

んで帰路についたら頭痛がしはじめた。

その頃大学とバイトで休む暇なく動いてたから、
無理がたたったと思い、帰宅後嫁に

『頭痛いし身体怠い。
多分風邪だと思うからちょっと寝るわ』

と玄関横の部屋で布団に潜ってた。

その間に嫁はワンコの散歩に。

どれ位経ったのかわからんけど、
胸が苦しくて唸ってた。

寝返り打とうとしたら身体が動かない。

(え?何?金縛り?)

それまで霊感なんて無かったしマジ焦ったのね。

その間も胸のあたりが苦しくて仕方ない。

幸い?目は見えてるから視線を胸のあたりに向けたら、
布団がゆっくりと持ち上がって行く…

(え?え?な…)

もうパニックで何も考えられず、
ただ怖かった…

やがて持ち上がった布団と俺の胸の間に鈍く光る二つの目…

叫びたくても声が出ない、
もちろん身体も動かない…

恐怖で何ともならなくなった時、

「ワンワンワンワンッッッ!!!」

散歩から愛犬が帰って来てすごい勢いで吠えた。

その瞬間布団と俺の胸の間にあったモノが、
俺の顔をかすめるように飛んで行った。

その時に見えたのはどう考えても武士の様な髷。

しかも首から下は見えなかった。

あの時ワンコが帰ってこなかったら…
と考えると今も鳥肌が立つ。

ちなみにそれからアラヌモノが見えたりする様になった。

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