大学の免許の関係で、
養護学校に体験に行ってきた。

常にどこからか奇声が聞こえてくるわ、
俺より背が高いような生徒がイキナリ腕つかんでくるわで、
なかなかすごいところだと思った。

二日間、体験をしたんだが、
二日目に不思議なことがあった。

俺が担当させられたのは、
小学部っていうところで、
小学生の年代の障害児がいるところだった。

そこで、たぶん一番大人しい子だと思うんだが、
Aくんっていう男の子と一緒に遊ぶことになった。

Aくんは、
基本的に言葉を喋らないけど、
こっちの言うことは理解しているみたいだった。

Aくんとしばらく遊んでいて
(というか、彼がボウルに入れたブロックをかき混ぜてるのを見てるだけだったが)
ふと気がついた。

Aくん、時々、はっと顔を上げて、
教室の天井の方を見て、目を泳がせる。

最初は、
そういう障害なんだろうなって思ってた。

でも、本当にそこに何かいるみたいで、
目がそれを追いかけて動いているように見える。

で、気になった俺は、Aくんに

「何かあるの?」

って聞いた。

すると、Aくんは、
部屋の一部を指差して、

「ケッチャッチャッチャ」

と言った。

何を言っているのかは不明だったが、
何かある、と言っているのはわかった。

俺には何も見えないが、
彼には何か見えているのかと思うと、
ちょっと気味が悪かった。

Aくんは、
またブロックまぜまぜに取り組み始めた。

俺は、彼が指差した天井の下辺りに行ってみた。

見上げても何も無い。

「Aくん、ケッチャッチャッチャって何?」

と俺が聞いた時だった。

Aくんが、俺の方を見て、

「ケッチャッチャッチャ、ブーよ!」

といった。

腕に痛みが走った。

見ると、
腕に爪でかぐられたような跡があった。

Aくんを見ると、
その視線は、窓の方にむかっていた。

半袖だったもんで、
傷が出来てるのを見て、担任の先生が、

「まさかAくんが…?」

って言ってたけど、俺は、

「何か気がついたらできてました」

みたいに言ってごまかした。

その後は、何事もなく体験終了。

それにしても、ケッチャッチャッチャ、
って、マジで何だったんだ。

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