いつだったか、引っ越しする前の連休の明け方。

ジュースを買いに行こうと、外に出た。

まだ外は暗く、廊下でエレベータを待っていると(マンションね)、
上のほうでガシャーンとガラスの割れる音がした。

なんだろと思って、
吹き抜けの手すりの所に近付いた。

そこからなら多少、上が見える。

見上げるまでも無かった。

黒いシルエット、
人間の上半身が垂れ下がっていた。

腕はだらりと下になり、頭はつるりとしていた。

通常なら、そんな事絶対に出来ない事が一瞬で分かる。

なぜなら、マンション1階分しか隔てていないと言っても、
乗り出して下を見下ろすほど離れては居ないから。

影を見たのは10秒くらいだったか、
やがて唾をごく、と飲んだ瞬間、
シルエットはぞわっと何かに引き上げられるように上へと消えた。

その時は怖いと言うよりも、
なんだ・・・?という気持ちが強かった。

よくあるような「長い髪の毛」の影・・・
などでは無かったから、かもしれない。

一時置いてエレベータを見ると、
既に下の階へ行ってしまっていた。

しかたない、ともう一度ボタンを押す。

そして、何気なく見た薄暗い廊下の向こうから、
滑るように近付いてくる黒いシルエット。

心臓が飛び上がる感覚と共に、
自分の部屋の鍵をポケットから取り出し、
部屋へと駆け込んだ。

チェーンもかけた。

それからは時に何も無かったが、、

あのマンションは自殺とか聞いた事の無い、
極普通の場所だっただけに、実に不可解だった・・・

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