大学生のとき失恋とか留年で悩んで、
ストレス解消に毎晩のように当てもなくドライブをしていた。

ある深夜のこと、山道を走っていてふと、

『こんな辺鄙なとこで死んだらきっと見つからないだろうな。
いっそ死ぬか』

という思いがよぎった。

そんな度胸はもともとありはしないんだが、
なんとなく死ねば悩みは解決するんじゃないかと考えた。

そしたら、いきなり車内に

「そんなこと駄目だよ。わたしみたいだよ」

って若い女性の声が響きわたり、
俺は心臓が停止するくらい驚いて、

「うわわあああ!」

と一人で叫んだ。

冷静になって声の原因を探ろうと思ったら、
消していたはずのラジオがオンになっていて、
微かに女DJが喋ってる声が聞こえていた。

ようするに、
たまたまラジオの音が響いただけだったんだが、
不思議なのは、ラジオがなぜついてしまったのかということと、
いきなり響いたその台詞だけ大音量で、
ほかの音はかなり小さい音量だったこと。

偶然だろうとはいえ、
しばらくは車に乗るたびに怖くてしかたなかった。

15年前の話です。

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