自分は親の影響で2つほどの武道を掛け持ちしていて
(あまり印象は良くありませんが)
両方とも武器を使わず
片方はかなり荒っぽい組み手主体
もう片方は型が主体の武道の流派です

この体験は組み手主体の方で体験したことです

武道にかかわらず
スポーツの世界では
プレイ中に気分がhighになることが良くありますが
一瞬気を抜いたら突きや蹴りが迫ってくるという
武道独特の極度の緊張下ではよく良くわからないことが起きます

ハッっと気づいたら試合が終わっていて
なぜか勝っていた

鼻や腕が折れているのに
そのまま痛みもなく普通に殴れる

痛みというものが別の感覚になってくる
(自分は殴られる痛みがくすぐられたような
笑いに変わっていくことがあります)

相手が人ではない何かに見えてくる

本題は一番下の

「相手が人ではない何かに見えてくる」

というものです

道場の中では組み手というのは
数をこなすとうまくなるというのが考え方で
もう一歩も動けない・・・
というコンディションからが本番という
かなり厳しい教えられ方です

その練習の中で
痛みや疲れなどがピークに達すると
時々ゲシュタルト崩壊みたいに

「目の前にいるこれは何なんだ?」

というような意味不明な思考に陥ることがあります

それ自体は周りの友人にも聞いても結構な頻度であるのですが
自分が一番恐怖に陥った体験があります

そのときも追い込みに追い込みをかけられて

「あ・・・これはまたアレか・・・」

とそのときは普通にいつものアレかと思いましたが
なぜか目の前にいるものが
いつものあやふやな感じではなく
すごく存在がハッキリしているのです・・・

ただし目の前に見えたのは
人間とは思えない異形のものでした

全身が真っ黒で目も鼻も口も何もない
のっぺりとした姿形はかろうじて人間だが足はない

そして何人もの男が組み手をやっていて
ものすごい音のはずなのに
そのとき気づいたら周りの音が一切聞こえず無音

ただ自分はなぜか目の前にいる異形から目を離したら死ぬ・・・
と感じ一心不乱にソレと戦っていました

何分か何十分かわかりませんが
いつの間にか目の前の異形は
戦っていた友人へと変わり
まわりの音も普通に聞こえてきました

練習が終わった後
組み手をしていた友人に

「=上記のことを説明=
自分そのときどんな感じだった?」

と聞くと

「ん?
普通に組み手やっていたよ
特に変わり無く」

とまったく何も無かったのかの用に返答してきました・・

が続けて

「ただ一瞬だけ良くわからない方向を殴っていたな・・」

と後出しで言って来ました

その後は特に大事も無く日常を過ごしていましたが
つい最近道場での集まりで師範にその話をする機会がありました

師範はその話を聞くと
うれしそうな顔をしてこういいました

「それは俺も大学のときに体験したことがある、
それはソレと思っておけ」

その後師範に言われたことを要約すると

ソレは師範の知り合い中でも体験したことがある人も多く
有名とまではいかなくとも知ってる人は多い

姿形は結構変わるらしいが
全身黒い脚が無い極度の恐怖心に苛まれるなど
共通点も多いらしいです

自分が精神的体力的に極度に疲れたときに現れる

ソレが現れると
将来強くなるというジンクスがある

師範はそれを喜んでいましたが
自分はまったく笑えませんでした

その後

「じゃぁ強くなれるように練習だな!」

といわれソレとの邂逅なんぞ
屁みたいな恐怖を与えられました

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