今年の黄金週間におこった出来事。

俺以外の家族が二泊三日の旅行に行ってしまった。

家は結構広い二階建ての一戸建てで、
昔からあるものを親父が買って家族で住んでいた。

この家には一階と二階にトイレがそれぞれ一つずつあった。

俺の部屋は二階にあるから、
俺はいつも二階のトイレを使っていた。

その日は学校の特別補習があって、
家に帰るのが遅くなってしまった。

学校を出たのが七時半ぐらい。

家に着くのはいつもだいたい八時ぐらい。

遅くなっても今日と明日は俺一人だし、
立ち読みでもして帰るかな…
などと考えながら道を走っていると、
急に腹が痛くなった。

これはヤバイ!!
もうあと少しで出る!!
と思いながら自転車を全速力で走らせるが、
この辺りには公園もコンビニもない。

野糞なんて絶対イヤだったので、
腹の痛みに耐えながら家を目指した。

全速力で飛ばしたのですぐに家に着いた。

家に着くなり一階のトイレに入り、
カギをかけて用を足そうと便座に座ると、

「ドンドン!!」
「ドンドン!!」

と、ものすごい勢いで扉が叩かれた。

驚いた俺は用を足すのも忘れ、
しばらく「ドンドン!!」というドアが叩かれる音を聞いていた。
(なぜか恐怖心はなかった。一瞬驚いただけ)

全然ドアを叩く音は止まないので、
呆然として音を聞いていると、急に音が止み、
ものすごいでかい声でいきなり叫び声がした。

「〇×△□#$★▽~!!」

なにを言っているのかは全然聞き取れなかった。

しかし、その言葉を聞いた瞬間、
なぜかものすごい恐怖に襲われた。

そして、ドアを叩く音再開。

俺は頭を抑え、
ガタガタ震えながら音が止むのを待った。

頭の中では、
なぜかお経や神頼みの言葉ではなく、

『ここは俺が使っていますから、
どうか二階のトイレに行ってください!!』

と祈っていた。

そうすると俺の祈りが通じたのか、
音が止み階段を駆け上る音が。

俺は音が止んだ後もしばらくトイレの中にいた。

腹の痛みも便意もすでに消えていた。

しばらくして気持ちも落ち着いてきたので、
とりあえずトイレから出ることに。

そして、
そのままなにも持たず家を出て、
友人の家に行った。

事情を話したら、
友人は今晩泊めてくれるとの事。

でも、明日から友人一家は出かけるので、
明日は家に帰らなければならない。

そして次の日、
俺は友人に礼を言い家に帰る…予定であったが、

いざとなると勇気が出ず、
しばらくファミレスに行ったり、
本屋で立ち読みしたりした。

しかし、明日はまた補習があるので、
家にはどうしても帰らなければならない。

意を決した俺は、家に帰ることにした。

まだ昼の三時ぐらいだったので周囲は明るかった。

家に入ってまず目についたものは、
無造作に投げ捨てられたバック。

しかし、明日の補習に必要な物は二階の俺の部屋にある。

しばらくその場に座り込み考えたが、
結局二階に上がることにした。

そして、
二階に上がろうと階段に足をかけた瞬間、
急に腹に痛みが!!

それも昨日の比じゃない。

『もう出る!!もれる!!』

と思い、すぐに一階のトイレへ。

しかし、なぜかカギが掛かっていて開かない。

俺は全力で扉を叩き続けた。

しかし扉は開かない。

「あけてくれ~!!」

と、誰が中に入ってるわけでもないのに大声もあげた。

そしてまた扉を叩きはじめた。

その瞬間気づいた。

「これって昨日と同じじゃないか」

と。

「じゃあ、昨日扉を叩いていたのは俺!?」

わけが分からないまま、
とりあえず二階のトイレへ…行こうとしたが、
すごく嫌な予感がしたのでお隣の家へ。

お隣の人は俺の表情を見るなり、

「どうしたの!?」

と聞いてきた。

とりあえず俺は

「トイレ貸して下さい!!」

と言い、トイレを貸してもらった。

トイレから出るとお隣さんは困惑した様子だったが、
俺が

「なんでもありません…」

と言うと、それ以上は聞かなかった。

結局その日はファミレスで夜をすごした。

次の日、家の前で家族の帰りを待ち、
事情を話したが、
誰も信じてくれなかった。

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