昔出張中のホテルで起きた話です。

その日私は東京から東海地方のとある県へ出張に行っていました。

急きょ次の日予定していた方向と全くの別方向へ行かなくてはいけなくなり
次の日の予定に行きやすいY市でホテルを探す事にしました。

スマホをポチポチしながら宿泊サイトを見ていると
急だったためか一件だけ出張予算に合う部屋が見つかりました。

当時勤めていた会社は
安ホテルに泊まっても宿泊費が一定額必ず出るので
薄給の私は安いホテルに泊まって
差額を嫁に内緒のお小遣いにしていたのです。

そこのホテルのHPには

「窓無し部屋のため格安でご提供!!」

と書いてありました。

チェックインの時間も夜遅くなってからだし、
朝もそこそこの時間に出発するのでまあいいか、
と予約をしてチェックイン。

エレベーターに乗って自分の階へ到着すると
何とも陰気な雰囲気の漂うホテルでしたが、
安いしこんなものだろうなと大して気にもせず部屋へ向かいました。

私の部屋は正方形のホテルのの真ん中辺り。

ちょうど『回』の字の中の四角の辺りに部屋がありました。

部屋はツインルームだったので、
一つのベッドに荷物を広げもう一つのベッドで睡眠用にしようと決め、
疲れていたためシャワーを浴びて早々に寝ていると
部屋の中から

「ピンポーン」

とチャイムが鳴った気がして目が覚めました。

多分近くの繁華街で飲んでいた他のサラリーマンが
酔っ払ってよろめいた時に
部屋のインターホンでも押してしまったのでしょう。

大して気にもせず寝直そうとすると
今度ははっきりと

「ピンポーン」
「ピンポーン」

とチャイムが鳴りました。

そこで私はハッと気付きました。

部屋にインターホンなんてなかった事に。

ルームサービスのあるホテルでもない限り
安い素泊まりのビジネスホテルには
インターホンなんか必要ないのです。

すると、同時にホテルの廊下を
子供がパタパタと走り回る音が遠くから聞こえてきたのです。

遠かった足音はどんどんと近づいてきて
そのまま私の部屋へドアも開けずに入ってきたのです。

私が寝ていない方のベッドで飛び跳ねる音と
子供がキャッキャッとはしゃぐ笑い声。

私は恐怖に震えながら
絶対に起きるものかとギュッと目をつぶり
寝たふりを続けていましたが、
ベッドではしゃぐ何かは飛び跳ねるだけでは飽き足らないのか
まるで遊びに誘うかのように私の頬や肩を叩いてくるのです。

それでも目を絶対に開けずに寝たふりを続けていると
フッと気配が消え
部屋には何事もなかったかのような静寂が訪れました。

そのまま私は意識を失うかの様に眠り
朝は早々とチェックアウトをして出発をしました。

もしかするとあの夜の出来事は
私の夢だったのかもしれません。

が、あのリアルな感触と子供のはしゃぐ様は
一生忘れられそうにありません。

私の記憶に残る洒落にならないほど怖い話です。

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