これは妹から聞いた話。

俺の妹は昔から霊感強い。

母方の家系の女性は皆そうらしい。

数年前のことになる。

妹は中学を卒業し、
同中だった友人のAちゃんと同じ高校に進んでいた。

悪友とでもいうか、
2人してとある公園で煙草を吸っていたそうだ。

その公園はカラオケ屋(当時)の裏にあり
通りから見えないため、
悪さをするにはもってこいの立地だった。

公園の向かいには駐車場を挟んでアパートが見える。

その日も妹はAちゃんとその公園にいったが、
なんだか警官がうろちょろしていたそうだ。

「これじゃ煙草吸えないね」

なんてAちゃんに耳打ちしながら
公園のベンチに腰をかけた。

しばらくAちゃんとしゃべっていると、
妹はおかしなものに気がついたそうだ。

その公園には妹達が座っているベンチとは別に、
もう1つベンチがあり、
2つのベンチは向かい合うように設置されていた。

そのベンチではカップルがペティっていたが、
同じベンチのすぐ隣で変なオヤジが変な座り方をしている。

そのオヤジは両手を前に突き出し、
水平よりやや高く掲げていて、
足も腿がベンチにつくかつかないかという具合に浮かせていた。

足の裏も当然地面から離れている。

「おかしい!」

「アレは絶対見えちゃいけないものだ!」

と妹は咄嗟に思ったという。

そんなオヤジが隣にいるのに
イチャつくカップルがいるハズもない。

妹はそのことを確かめるためにAちゃんに尋ねた。

「ねぇ、A…向こうのベンチに座ってるおじさん見える?」

Aちゃんは

「やだ、何もいないよ!?気味悪いこと言わないで!」

とややテンパったそうだ。

2人は嫌な感覚がし、
警官も多かったことからその日はその公園をあとにした。

妹が変なものを見てから約1か月程たったある日、
妹達は再びその公園を訪れた。

1か月前に変なものを見たことなど、
2人とも忘れていた。

2人が楽しくおしゃべりをしていると
駐車場を挟んだアパートから
見知った顔が歩いてくるのがみえた。

「おぅ、M(妹)とAじゃないか!」

それは妹とAちゃんの中学の先生だった。

2人「先生なんでこんなとこいんの?」

先生「ばかやろうwあのアパートに住んでんだよww」

妹達が中学卒業してから半年近く経っていた。

そのため自然とお互いの近況報告みたいになっていった。

「先生あたし高校でね~」

「この前Aがさ~」

とりとめもない会話が飛び交っていった。

そのとき、
唐突に先生が思い出したように話し始めた。

「そういや俺、この前すごいもん見ちゃってよ~…」

「え?何々!?」

と、妹達が食いつく。

先生はニマニマと、
もったいつけるように話を続けた。

「そこに駐車場あるじゃん?」

「うんうん!」

「あそこはうちのアパートの駐車場何だけどさ~w」

「そんなん言わないでもわかるよっ!w
何があったのさ?」

先生は妹達の反応をひとしきり堪能してから言った。

「焼身自殺があったんだよ。」

「えぇ~?そこで!?」

「そう。俺が買い物から帰ってきたら
そこの駐車場にすげぇ人だかりできててさ。
警察やら消防やらが集まってるワケ。
なんだろうと思ったら車が燃えててさ、
野次馬の話によると焼身自殺らしいってことだったんだよ。
で、警察に関係者以外立入禁止って言われたんだけど…
俺アパートの住人だから関係者じゃん?w
家に帰るって言って通してもらったんだけどさ…。」

「…それで?」

と妹達は固唾をのんだ。

「車の中で燃えてる人見ちゃってよ~…。
まだ動いてたからアレ、
きっとまだ生きてたんだな。」

妹は昔から俺にグロ画像とか見せられて育ってたから
それなりに知識があったから先生に聞いてみたそうだ。

「え?じゃあボクサーのファイティングポーズみたいになってた!?」

「いや…、それがさぁ~、
ハンドルをギュッって握りこんでんだよ。
ギュ~ッって。」

「え?じゃあこんな感じの格好だったんだ?」

って妹が再現してみる。

「そうそう、そんな感じ!」

その時、妹の頭に
一か月前のこの公園での出来事がよぎった。

「ねぇ…A…」

と妹が呼びかける。

Aちゃんの顔がピクッと動いたかと思った途端、
Aちゃんは悲鳴をあげて泣きだしてしまった。

妹の取ったポーズは、
1か月前のあのオヤジと同じポーズだったのだ。

1か月前のあの日、
公園を去ったあともしばらく妹とAちゃんは
そのオヤジの話で盛り上がっていて、
背格好やポーズについて話していたのだ。

先生は何が何だかわからない様子で、
いきなり泣き出したAちゃんをなだめていた。

Aちゃんが落ち着いたので、
先生にことの経緯を話した。

先生と話を突き合わせて整理してみたところ、
どうやら妹達が公園にきた前日か前前日にその自殺があったようで、
妹達がみた警官は、
その事後処理にあたっていたのだろうという結論に至ったということだった。

妹が見たのが焼身自殺した人かどうかは結局わからない。

しかし、時間や場所、
果てはポーズまでピッタリと一致してしまった今回の話。

妹の見間違いや作り話にしては
あまりにできすぎだと俺は思った。

偶然やたまたまだけでは説明がつきにくい話で、
だからこそ真実味が増していると思う。

俺は霊とか信じていない。

でも、だからこそこの話には恐怖を感じた。

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