これは私が高校生の頃に体験した話です。

確かあの日は
冬が間近に迫った頃だったと思います。

私の通っていた高校は、
授業が少しだけ多めで、
全ての授業が終わると
午後の6時半を過ぎる日があった。

そんな日は、部活もやらずに
同じ地元の友達とすぐに帰っていました。

その日も授業が遅く終わる日で、
同じ地元の友達と話ながら帰っていた。

道中で友達と別れて、
そこから一人で帰ることになる。

友達と別れてから少し歩くと
歩行者専用の踏切があり、
踏切を渡って少し歩くと自宅に到着する。

この歩行者専用の踏切というのが、
アスファルトで舗装されており、
人がギリギリすれ違える程度の道幅しかない小さな踏切だ。

そこを渡っている時にふと、
私が幼稚園児の頃に
この踏切で人身事故があったことを思い出した。

自宅の近くが騒ぎになって、
父親が野次馬しに行って

「人身事故だってさ」

と母親に報告していたのを覚えている。

私は心の中で、
誰かはわからないけど、
なにも自殺までしなくたっていいのに、
かわいそうにと思った。

その時だった、
なにかを踏んで転びそうになった。

踏んだそれはムニっとした感触で、
心底気持ちが悪かった。

ちゃんと前を見て歩いていたのに、
何を踏んだんだろう?
と思いながら後ろを振り返る。

しかし、歩道にはなにもない。

もしかして蹴飛ばして
砂利の上に落ちたかな?と思い、
周囲を見渡すも、
やはりやわらかそうな物などどこにもない。

おかしいな?
と思いながらも、
帰宅することにした。

家に帰って、
風呂食事予習復習をし、
床に入った。

しかし、
なんだか寝付けない状態が続いた。

そのうちに、
人のざわめき声が聞こえてきた。

たくさんの人が
遠くで何かを喋っている。

私はなんだろう?と思い
部屋を見回すも、なにもない。

外からかな?
と思い、
外の様子を見ようと体を起こそうとすると、
体が動かないのだ。

私はこれが金縛りなのかと思いながら、
初体験なので少しわくわくしてしまった。

一部分を動かそうとすれば
金縛りが解けると聞いたことがあるので、
試してみるもだめでしたが、
目だけは動かせました。

私は霊障などまったく信じておらず、
とにかく金縛りに対して
色々試そうとしか考えていませんでした。

しかし、
そんな気持ちも一変することが起きます。

さっきまで聞こえていた人のざわめきが、
段々と小さくなっているのです。

そして小さなざわめきに混じって、
お経が聞こえるようになってきます。

やがて、
小さなざわめきが完全に消え、
お経の音が大きくなります。

霊障など信じていなかったのですが、
お経を聞いたら突然怖くなってしまいました。

金縛りが継続したまま
お経の音が最大と思われる状態になったら、
突然胸からお腹にかけて
重圧がかかりだしたのです。

凄い重さで息がまともにできません。

胸からお腹を見るも、
そこにはなにもありません。

ついには息ができずに
目の前が真っ白になってきて、
これはこのまま死ぬかもしれないなと考えるようになります。

もう限界だと思うあたりで、
重圧が段々と軽くなってきたのです。

息ができるようになり、
段々と意識が戻ってきて、
目の前が真っ白だったが
虫食いのように視界も段々と戻ってきた。

ずっと流れていたであろうお経も
また聞こえるようになってきた。

しかし、
お経の音が先程よりだいぶ小さくなっていた。

金縛りはまだ続いており、
怖い怖いと思いながらも、
視界の虫食い部分から部屋を見渡してみる。

ふと、部屋の隅の天井に
緑色に発光する何かが見えた。

部屋に発光しそうなものはないので、
よく目を凝らして発光するそれを見る。

それは、
肩から上だけの緑色に発光した、
下を向いて目を瞑った知らないおじいさんだった。

とそれを確認した瞬間、
そのおじいさんがパッと目を開き、
こちらを見て急に苦痛に歪んだ表情になり

ううぅぅあ゛あぁぁ

それはまるで断末魔の叫び声だった。

今まで生きてきた中で
最大の衝撃でした。

その後もおじいさんは
しばらく呻き続けた。

私は泣きそうになりながら、
おじいさんから目を離せずに
呻く様子を見ていた。

しばらくしたら、
呻き声を上げなくなり、
おじいさんは薄くなって消えていった。

気がついたら金縛りが解けていた。

私は体を起こし、
恐怖を感じながら茫然としていた。

全身が脂汗でビッショリで、
しばらく震えが止まらなかった。

なんとか眠れたのだが、
次の日から風邪でもないのに
謎の熱で学校を一日休んだ。

私は踏切で、
幼稚園児の時の例の自殺者を連れてきたのかな?と思い、
気になったので母親に聞いてみることにした。

私は、

「お母さん、
俺が幼稚園の時に近くの踏切で人身事故あったじゃない、
その時に自殺したのっておじいさん?」

と聞くと

母親に、

「なんで?」

と聞き返された。

仕方が無いので、
正直にあったことを話すと、

「そうだったの、気の毒に。
そうよ、自殺したのは近所のおじいさんよ」

と教えてくれた。

私はすぐに信じてくれた母親に感謝しつつも
疑問を感じ聞いてみたところ、
踏切とは別だけど、
母親も不思議な体験をたまにしているとのことだった。

それと、
その踏切は地元の老人達から
あまりよくない場所と噂されていると教えてもらった。

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