この体験は、
私が小学生の4~5年生の時の出来事です。

季節は秋から冬へ替わる時期でした
(多分10月から11月にかけてかもしれない)。

私の母校の近くに倉庫がありまして、
その頃は学校の怪談やオカルトチックな話が好きな友人と一緒に

「期末テストが終わったら、あの倉庫に行かへん?」

と、ちょっとした探険隊ごっこを計画していました。

そして期末テストが終わり、
例の倉庫を探索する日になりました。

メンバーは私を含め5人です。

私達は夜中にうまく家を抜け出して、
倉庫の前の広い駐車場に集まりました。

友人の話では、
その倉庫はオバケが出ると有名な所です。

私達は恐る恐る中に入りました。

倉庫の中は、案の定真っ暗でカビ臭く、
もうすぐ冬だというのにジメジメしています。

「なんか出そうやなぁ」

と友人はワクワクして言い、
私達5人はまず2階に上がろうと思い
2階へと登る階段を捜していた所、1人が

「ひぃっ!」

と言ってその場に座り込んでしまったのです。

私達は

「一体何が起きたんだ!」

と思い、
へたれこんでいる友人を見ました。

そこには単にひび割れた等身大のガラスがあって、
私の友人は自分の姿を見てビックリしただけでした(笑)

早速彼を起こして、
2階の階段を捜していた所

「お~い、あったぞ~」

と友人。

そして私達は2階に登りはじめました。

その階段は人1人が通れる位のスペースしかなく、
皆1列に列んで登ってゆきます。

ギィコ...ギィコ...ギィコ...ギィコ...ギィコ...

階段の床は木の板が貼ってあり、
踏むと音が鳴るのです。

ギィコ...ギィコ...ギィコ...ギィコ...ギィコ...

階段の踊り場についた時に、
シミの漬いた壁には小さな鏡がありまして、
懐中電灯の光が反射して
皆の姿がうっすらと見えます。

「あれぇ?5人で来たよなぁ」

と私。

鏡に写る皆の姿がおかしいのです。

しかし、悲しいかな子供と言うのは
深く物事を考えないのであります。

だが、これがすべての始まりでした。

2階に到着した私達は、
念のため点呼を採る事にしました。

「?山」「はーい」(伏せ字ですんません<(__)>)
「?崎」「はーい」
「?本」「はーい」
「野?」「はーい」(と私を入れて計5人)

「よーし。じゃあ出発!」

ずんずん奥へと進みます。

だが皆の足音がなんかおかしいのです。

正確に表現するのは難しいのですが、
例えて言うなら軍隊が行進する様な足音がするのです。

しかし、その原因不明な足音はかすかに聞こえてくるので、
私以外は聞こえていない様子でした。

それにしてはやけに足音が近くで鳴っているので、
怖がりな私はいよいよ怖くなってきました。

その足音は、
我々の後を追いかけている様な気がしたからです。

我々一行は、
2階の角部屋に到着しました。

男子トイレです。

「おお~。いかにも出そうなところやな~。
どう?1人ずつ入ってみようや」

野?君が言いました。

私達はジャンケンをして、
負けた人から順に中の様子を探ってこようという事になりました。

1人、2人、3人、、、

ついに私の番が来ました。

キィ~、、、

中は意外に荒れていなくて拍子抜けしました。

長方形の部屋に窓がひとつ。

その夜は曇りで、月は雲に隠れていて
しんしんとした暗闇が広がっているだけです。

懐中電灯の灯りだけが頼りでした。

その時

「ザンザンザンザンザンザン...」

例の足音が聞こえてきました。

その足音は私の周りを廻っています。

ザンザンザンザンザンザン...

やっと事の重大さに気付いた私は
飛び出る様に男子トイレを後にしました。

私はこの変な出来事を皆に話しました。

話し終えると1階で鏡の自分で驚いた友人が

「そういえば、なんかわからへんけれども、
さっきからジッと誰かに見られてる様な気がして、嫌やねん」

との事。

彼が言うには、
360度からずっと視線を感じていたそうで気が重かったそうです。

皆が口々に

「、、、出たか?、、、」

と言うと皆一斉に寒気を感じました。

言葉では言い表せないプレッシャーを
360度すべてから身体が感じていました。

その時

ザンザンザンザンザンザン...

ザンザンザンザンザンザン...

ザンザンザンザンザンザン...

顔にまとわり付く様な嫌な空気が、、、

ザンザンザンザンザンザン...

今度は皆にも聞こえる様です。

ザンザンザンザンザンザン...

友人が

「か、帰ろう」

と言うと、皆もそれに賛同して
ゆっくりと来た道を引き返す事にしました。

出口に向かう間
ずっとあの足音は私達の後をついてきます。

慎重に階段を降り、1階に着きました。

そして皆は走って倉庫を後にしました。

何故か私は走って出口に向かうと
背中を引っ張られる様な感覚があり、
気味が悪くなって一目散に走り抜けました。

皆無事に出て来たところで
倉庫の方を振り向いて見てみました。

そこには無数の人影が
2階の窓から私達を見ているのです。

街灯も殆ど無いというのに、
ハッキリと見えました。
(終わり)

あの頃の体験は今でもゾっとします(泣)

私が今も鮮明に覚えている事は
その内の一体(1人?)が「にやり」と笑った気がして、、、

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