小さい頃、両親が早世して、
親戚の家に居候していた。

しつけの厳しい叔父と小言が絶えない神経質な叔母、
年の離れた優しい従姉妹のお姉ちゃんと近畿地方の田舎で同居していたが、
このお姉ちゃんが一六歳の春に亡くなった。

亡くなる前日、
お姉ちゃんは、
伯母から買い物を頼まれて
私も行かないかと誘った。

私たちは、
スーパーで買い物を済ませて、歌を歌いながら、
地蔵峠と呼ばれる旧街道の地蔵が並んだ曲がり角に差し掛かっていた。

その頃は、地方にも宿無しと呼ばれる方々がいて、
地蔵峠にもその時、ゴザを敷いた薄汚れた老婆が座っていた。

老婆は通り過ぎようとする私に言った。

「坊や、かわいそうに」

私は何やら怖くてお姉ちゃんの後ろに隠れた。

お姉ちゃんはかばうようにして、
老婆の面前に立った。

「本当はこの坊やなんだが、
お前でもいいのかい?」

お姉ちゃんは、
しばらく屹立していたが、
不意に肩を落とすと

「私でいいよ」

と言った。

翌日、お姉ちゃんは起きてこなかった。

私は、お姉ちゃんの死因を聞かされなかった。

すぐに、違う親戚の元に移されたが、
多分、私の身代わりになったのだと思っている。

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