寝てた。

ふつうにベッドで熟睡していた。

夢とか見ないレベル。

もう爆睡。

しかし目が覚めた。

突然。

携帯で確認したら
午前四時ちょい前だった。

そしたらなんか、
上からふわっと降るように足に何か乗ってきた。

当時妹が五歳くらいで、
それと変わらない重さのものが正座している感じ。

あれ、妹か?と思って起きあがるも誰も乗ってない。

でも足には確かに何者かの体重を感じる。

動かない。

と、脳の中に赤い着物のおかっぱ娘が
横向きに座っているのがイメージされた。

それは私が通っている高校に出ると言われている幽霊で、
ちょうどその前の日に私はその霊が出る場所で部活をしていた。

何か彼女の琴線に触れるようなことをしたのか。

必死に考えたがわからない。

背中がビリビリ痺れ
頭の中は見えない重みへの恐怖でいっぱいだった。

ふいにひらめく。

打開策。

こわがったら、負けだ!

幽霊はこわがると調子に乗る。

こわがったら負けだ。

負けたらやられる!

そう考えた私は吠えた。

演劇部で鍛えられた腹式から発せられる
女子とは思えぬ地鳴りのような声で語りかけた。

「マジおまえなんかこわくねーし。
こわくねーし。あっち行け。顧問のとこ行け。
こっちくんなバーカ。
こわくねーし!こわくねーし!」

少しして、
重みはふっと持ち上がるように消えた。

勝った。私は勝った。

我が校に伝わる赤い着物の霊に勝ったのだ。

何とも言えない喜びに包まれて安心して眠り、
目が覚めたら期末試験開始40分前だった。

目にも留まらぬ速さで身支度と通学を済ませ
無事事なきを得たが、
本当に、洒落にならないくらいこわかった。

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