金縛りって、体も動かせないし、
声も出せないよね?

力を振り絞り体を動かそうとしたり、
声を絞り出したと思っても、
実際は動いてないし、声も出てない。

先日、彼女とホテルに泊まった時に金縛りにあって、
彼女に知らせようと頑張ったが、
体も動かないし声も出ない。

なんとか声だけでもって発声しても
ハッ!ハッ!ハッ!って呼吸だけで声が出ない。

そうするうちに
彼女が遠くに離れていくような感覚がして、
あれこれなんかいつもと違う、怖いと思って、
意識をしっかり持って汗だくになりながらも
金縛りを解いた。

無事に解けたので、
ふぅとため息をつくと、
彼女は一睡もしてなかったらしく、

ねぇ、今のわざと?

と聞いてきた。

なんか
ハッ!ハッ!ハッ!
息が荒かったけど…と。

金縛り中でも呼吸はできる。

相手が起きていればだけど、
呼吸で知らせることができるのかと思い、
次からこういう呼吸をしたら金縛り中だから、
と伝えておいた。

で、なんで寝てないの?と聞くと彼女は、
なんか外に吸い寄せられる感じがして怖いと言った。

まさか金縛り中に感じた彼女が遠ざかる感じは、
俺が外に引っ張られてた感覚だったのか?と思うと、
ふたりして同じ感覚に襲われたことに少し寒気がした。

このままじゃ寝れないから、
外行って確かめようと言い、
窓を開けるとベランダがあり、
外は、市街地の夜景が一望でき、
すごくきれいだった。

しかし眼下は森、
ホテルが山の上にあったため、
暗い森が広がってた。

ベランダにはテーブルとイスがあり、
それに乗れば容易に柵を乗り越えて飛び降りれるような状況。

部屋は6階だったが、
斜面に建ってるため、
森はそれ以上に深く暗い。

暗く深い闇に吸い寄せられるような気持ちになり、
気づくと柵から上半身、身を乗り出していた。

不思議と恐怖はなかった。

ふたりとも怖がりなのに。

その後は普通に朝まで過ごして、
チェックアウトした。

一睡もしていないけど、
朝の空気が清々しかった。

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