確か、高校に上がる前の春休みでした。

私はボランティアサークルに所属していて、
年の離れた人とも交流があるのですが、
その中の一人にバトン部に入っている高校生がいました。

ある日、彼女がミーティングの帰りに言ったのです。

「○○、オカルトって興味ある?」

私は

「ん?ユーレイとかの話ッスカ?」

と食いつきました。

後日、ミーティングで1枚のMDを渡されました。
(当時はMDだったんですね。懐かしい)

彼女は言うのです

「これ、呪いのMDね」

内心では冷笑しながらも、
とりあえず家で聴いてみる事にしました。

発表会で使う曲を選んでいたらしく、
内容はトランス、ヒップホップ、マーチといかにもな音楽です。

ラベルに書いてあるのは、
丸い女性らしい文字で10曲のトラック名。

ところが。

11曲目があったんです。

私は彼女に電話をかけました。

不通でした。

少しビクつきながらも、
そのまま流します。

アップテンポのトランス。

クラシック好きですが、
ノレなくもない。

その、3分43秒。
(1、2秒の誤差はあるかもしれませんが)

「キュラキュラ」
とカセットを巻き戻す音が。

いきなり、曲調が変わりました。

トランスからインドとかアラブとか、
あの辺りの民族音楽に。

「びっくりした……」

私のMDコンポには
カセットデッキが付いていません。

少し落ち着いて考えれば、
巻き戻し音なんて鳴るハズがないじゃないですか。

「担がれた……」

多分、編集したんだろうな。
(当時はAudacityとかを知りませんでしたが)

苦笑しながらベロを停止に傾けます。
(コンポはshape製の2004年ぐらいの奴です)

「……」

止まらない。

未だにシナプスが反転しそうなコードの音楽が流れ続けるんです。

接触不良を疑い、
リモコンから停止させようとします。

「……なんで?」

怖くなった私は
イジェクトボタンを連打しました。

当然のように、反応無し。

この時点で4分21秒です。

モニタを凝視していましたから確実です。

ゴン……

ゴン……ゴンゴンゴンゴンゴンゴン!

何かを打ちつけるような音が鳴って、
ノイズが流れました。
(あれは絶対にPCの打ち込みなんかじゃありません。
生音でした!)

かなり速いテンポの打ち込み。

音からイメージすると、
コンクリに頭を打ちつけているような。
(そんな状況でそんな音を聞いた事は無いけれど、
パニックになってて)

それで、気付いたんです。

体が動かない事に。

指は真っ白になっていて、
ベッドの縁を握っていました。

私にこんな握力があったのか?
と思う程強く握っていて、
ベッドの縁は少し歪んでいます。
(木製なので)

本格的に怖くなって、
体に力を入れるのですが全く動きません。

その時、聴覚だけは鋭敏で、
コンポからすすり泣きが聞こえてきたんです。

耳をふさぎたいのですが、
手は動かない。

泣き声はだんだん大きくなっていって、
ついには叫び声が。

誰か助けて!
と声を上げたいのですが、
喉すら動きません。

7分49秒。

再生が停止して、
コンポが勝手にMDを吐き出して、
GOODBYEの表示。

爪の食い込んだ掌は血を滲ませていました。

「何かあった!?」

弟が私の部屋のドアを開けて飛び込んできました。

私は弟にすがり付いて泣きました。

今では殺意が湧く事がある弟ですが、
あの時ばかりは感謝しています。

あの時、弟がとびこんで来た理由は、
私が叫んでいたから、だそうです。

私の耳に聞こえた声は、
もちろん私の声ではありませんでした。

その出来事を彼女に伝えると、

「ね?凄かったでしょ?」

と笑われました。

「私、あんな曲入れたつもり無いんだけどね。ちょー怖い」

選曲で集まった時、
友達は泣き始めたそうです。

何よりも怖いのは渡してくれた彼女が
私に楽しげに渡したことでした。

サディスト極まれり、
といったところでしょうか。

以来、
私のコンポは電源を入れてもつくことがなく、
捨てました。

MDは怖いので
粉々にハンマーで割ってから燃えるゴミに出しました。

さすがに、また戻ってきた
なんてフランス人形みたいな事はありませんが、
寒がりになった気がします。

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