小さい頃、
婆さんの家系の墓参りに行った。

広い墓地で、
わが家で決めた目印は
『樫の木を曲がって三番目の墓』だった。

その年も樫の木を曲がって三番目の墓に行ったんだが、
樫の木の下で、
数人のオヤジ達が茣蓙を広げて宴会をしていた。

当時幼かった私は不思議に思わなかったんだが、

「どっから来たの?ジュース飲むかい?」

とオヤジに話し掛けられ、
そのまま樫の木の下に突っ立っていた。

しばらくして墓参りを終えた家族が戻り、
樫の木の下にいた私に

「そんなところでなにをしているのか?」

と聞いた。

振り返るとオヤジたちはそこにいなくて、
オヤジに貰った飴玉だけが手に残っていた。

墓のど真ん中で宴会なんて、
成長した今で考えれば有り得ないんだが、
もしあれが墓で眠っている人々ならば、
あの時呑んでいた酒やツマミはお供え物なんでしょうね。

その後、私はその墓に参拝に行くときは、
樫の木の下にも供え物をしている。

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