5、6歳の頃に死神を見た話。

夜、私は高熱を出して寝ていた。

目が覚めると
高熱で苦しかったのが嘘のように
頭がスッキリして体が軽かった。

病気が治ったんだと思い、
窓を見ると薄明るかったので
起きようかまた寝ようか迷っていた。

当時の家の寝室は窓が磨りガラスだったので、
外の様子はハッキリは見えない。

窓が2ヶ所あって、
1ヶ所は完全な磨りガラス、
大きい方の窓は上の方は透明で、
グラデーションみたいに下の方になると外が見えないようになっていた。

ふと磨りガラスの窓を見ると、人影が見えた。

2階建アパートの2階に住んでいたので人がいるはずがない。

???となってその人影を見ていると、
どうやら2人いるようだ。

シルエットというか、
真っ黒の影しか見えなかったが、
1人は若い男性、もう1人は年老いた男性という事がわかった。

しかも磨りガラスの方はそれ程大きな窓ではなかったのに
全体のシルエットがわかるほど小柄。

まるで影絵を見ているようだった。

何をしているんだろうと見ていると、
お爺さんの方が、自分の体よりも大きな大鎌を出して来た。

驚いて目が離せないでいると、
そのお爺さんは大鎌を振りかざしそのまま外壁に振り下ろした。

でも、お爺さんの動きは何故かスローモーションに見えていた。

スローモーションというか、
コマ送りみたいな感じだった。

振り下ろした途端バーン!という大きい音が響いた。

そのお爺さんは何度も何度も大鎌を振り下ろし、
その度にバーン!バーン!という音がした。

「中に入られたら殺される」

と思った瞬間、
もう1人の若い男が壁伝いにササササッと移動して、
大きな窓の方を高速で移動するのが見え、
隣の部屋に行くのがわかった。

隣の部屋には飼っていたインコがいたが、
インコも驚いたようにビビビビ!と騒いでいた。

これはヤバイ!と思い、
当時親と一緒に寝ていたので、母親に

「窓の所に人がいる!」

と大声で叫んで起こした。

母親は

「何言ってるのよ」

と寝ぼけ眼で窓の外を見たが、
もうそこには誰もいなかった。

今でもハッキリ覚えてるが、
あの容姿は死神だった。

けど、何らかの理由で中に入る事が出来なかったらしい。

外の壁を見たら、
薄っすらだったけどすり傷みたいな跡もついていた。

身体は軽かったけど熱はまだあったらしく病院へ行ったら、
肺炎になりかけていたと親が怒られていた。

あのまま中に入られたら死んでいたんだろうな。

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