2年前の事なんだけど、
私が行ってた高校で怖い目に遭った。

後から友達や先輩に聞いたところによると、
元々そういう噂が多い学校だったらしい。

高校は、第一、第二、第三校舎があって、
それぞれが内部通路と外通路でつながっている。

校舎はすべて4階建てだけど、
通路があるのは3階と2階だけで
若干めんどくさい。

昼間はどの校舎も昇降口から出入りできるが、
6時を過ぎると
生徒の下駄箱がある第一第二校舎しか開いていない。

ちなみに3階の外通路は
6時半以降は鍵がかけられてしまう。

第三校舎は学級はなくて、
特別教室と保健室があるだけだ。

そのせいか他の校舎より少し古いままで、
特にトイレが薄気味悪かった。

私が怖い目に遭ったのは、
その第三校舎でのこと。

うちの学校は部活をやっていても
問答無用で7時になると
職員室以外オール消灯される。

6時以降の部活には
顧問の先生が付くことが必須なので、
生徒だけで7時まで残ってしまうことはまずない。

生徒だけの場合は第一、
第二校舎の自分のクラスにいることがほとんど。

そもそも放課後は
部活以外第三校舎にいる必要がない。

これを踏まえて
人的なものか霊的なものか考えて欲しい。

私の部活は第三校舎4階でやっており、
位置的にはもっとも夜怖い場所だった
(階段から遠いため)。

そしてその日は
普段6時半で終わる部活を
顧問の先生に付いてもらって
7時まで延長してやっていた。

途中までは吹奏楽部の練習の音が聞こえていたけど、
遅くなるにつれて静かになって、
やがて終わったようだった。

部員たちが
話しながら帰る声が聞こえた。

私たちは、
私を含め3人の生徒と先生1人で残っていて、
もくもくと作業を進めていた。

美術部で、
作品を仕上げる期限が迫っていたため
その日は7時を過ぎてしまっていた。

見回りの先生に、
早く終えて帰りなさい、
と言われたのを覚えている。

顧問の先生にも早く片付けるよう急かされ、
みんなが片付けを終えて帰りの挨拶をする頃には、
7時半頃になってしまった。

今までも何度か消灯されるはめになっていたけれど、
大抵少し過ぎたくらいで
たまに吹奏楽部の人と鉢合わせしたりしていたが
この日は遅くなりすぎたせいか誰もいる気配がない。

当然校舎は真っ暗で、
唯一明かりのついている職員室も
第二校舎に邪魔されてほとんど見えない。

この真っ暗な中を歩いて階段を降りるのは
かなり怖い。

こうなると安堵できるのは
通路を通った先の職員室から漏れる明かりだけなので、
まず2階まで降りるしかない。

私たちはお互い怖くないようにくっついて
足元が見えない中ゆっくり階段を降りた。

消灯される時間ともなると校舎はいたって静かで、
下の階で生徒が話したり歩いたりしている音も聞こえるほどだったのだが、
自分達の足音が響く音以外聞こえない。

この時点で、
今この校舎には私たちしかいないと思っていた。

しかし、
3階から2階に降りている時のことだった。

「キャ────────!!」

突然、下の方から叫び声が聞こえてきた。

私たちはもちろん
先生も一緒に凍りつく。

誰?!何があったの?!

しかもその後走ったり
他の言葉を発している様子もない。

怖いものを見てしまったとかなら、
一目散に走ったりしないか?

そもそもこの校舎には
私たちしかいないんじゃなかったのか!?

「今の何!?」

「知らん!きゃーっていってたよね!」

「何なのやだ~!」

階段の途中で
思わず身を寄せあって固まってしまった私たちに、
先生は

「私見てくるから、
とりあえず2階まで降りて待ってて」

と言い、
私たちをつれて降りたあと、
一人確認に行った。

もし生徒なら、
走って逃げることもできずに
座り込んでいるのかもしれないと
先生は思ったのだろう。

しかししばらくして
先生が青い顔をして駆け上がってきた。

「誰もいない!
早く職員室に戻ろう!」

まさに背筋が凍った。

あわてて第一校舎まで走り、
そのまま職員室前で
しばらく4人で固まっていた。

「何だったんですかさっきの!」

「誰かいるのかと思ったんだけど、
誰もいなかったのよ!」

「そんなのありえないですよ!」

完全に先生も怯えてしまっていて、
あれは幽霊というような話になってしまった。

私も正直そうとしか思えない。

特に私は怖がりだし、
すぐびくびくしてしまう方だけど、
あれは人だと考えようとしても
やはり人とは考えづらい。

もし女子生徒が残っていたとしたら、
なぜ突然叫んだのか。

二人いて、
一人に驚かされたのだとしたら、
そのあと話し声が聞こえるはず。

一人だったなら、
どのみちその人は
何か怖いものを見てしまっているはず。

もしくは単に驚いただけなら、
走ったり、走らなくてもその場にいるはずだ。

しかし誰もいなかったと先生は言う。

前置きで説明したように、
この時間帯は第三校舎から第一校舎まで戻るには
必ず2階の通路を通らないといけないのだが、
しばらく待っても誰も来る気配はなかった。

結局その日はそのまま解散になり、
次の部活ではみんな割りとけろっとしていた。

私も平気だったが、
夕方以降はやはり少し怖くて、
トイレなんかとてもじゃないけど行けなかった。

ちなみに第三校舎では、
小さい女の子の霊と男の霊がいるというのと、
トイレになにか出るというのが
もはや相当有名だったらしく、
特に一人で練習している吹奏楽部の部員は
よく目撃していたらしい。

この目撃例の中に
女子高生くらいの女の子というのはなかったが、
あれはやはり幽霊だったのではないかと
4人の内では思っている。

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