当時高校生だった頃の話。

私には自称霊が見える
DQNな友人Yがいました。

Yは虚言癖があり、
素行が悪かったのですが性格が底抜けに明るく、
遠方にも友人が多かったので
田舎者で親が厳しい私は話を聞いたりするのが楽しみで
ほとんど毎日一緒に居ました。

そんなYが、
ある飲み会で知り合ったSと言う男性に恋をしたと
話すようになりました。

Sさんも霊感があるらしく
意気投合したそうです。

そのSさんは霊が居るところでは右目だけから涙が出たり、
7歳ころからずっと部屋の窓際に後姿の女性の霊が居る
という話を聞かされていました。

正直霊など見たことも感じたことも無いので
聞き流していました。

ある晩にYから

「Sさんとドライブに行くから一緒に行かんね?」

と誘われました。

親が厳しく夜間の外出ができない家庭でしたが、
Yの恋する相手を一目見たくて
一緒に行くことにしました。

Sさんは所謂好青年な感じの男性で、
DQN好きなYのタイプとは正反対の方でした。

行先も決めずにブラブラする感じのドライブでしたが、
楽しそうに話すYを余所にSさんはしきりに

「あれ?あれ?」

を小声で連呼していました。

あまり遅くまで出歩くと親にバレそうで怖かったので
早々と私は家に帰していただきました。

それから数日後に
見知らぬ番号から着信がありました。

出てみるとSさんで

「急にごめんけど、
確認したいことがあるから会えない?」

とのことでした。

Sさんと合流し、
またブラブラとドライブしたのですが
一向に会話が無く何を確認したいんだと不思議に思っていると
急に

「やっぱり!」

と大きな声で笑い出しました。

突然のことに驚いていると
Sさんから

「この前のドライブの時に
A(私)が乗ってる時だけ霊が見えなくなってて
涙も出なかったわけ。
でもA降ろしたらまた見え始めたから
もしかしてと思って今日確認しに来たんだけど
やっぱり見えない!」

と伝えられました。

そしてSさんは
いつも仕事や出先でよく通る道や建物に怖い奴が居るので
時間が会うならボディーガードとして付いてきて来てほしい、
バイト代は出すとのことを打診してきました。

Yには申し訳なかったのですが
バイト代という単語に目がくらみOKしました。

それからというもの色んなところに駆り出され、
いつしか周りからは
Sさんの彼女だと勘違いされるようになっていました。

そんなある晩、
自室で電気もつけずに携帯をいじっていたら
カーテンだけで仕切っている隣の姉の部屋で
姉がゴソゴソ何かを探しているシルエットが映りました。

あまりにも必死に探しているように見えたので
カーテンをちょっと捲って

「何探してんの?」

と聞くと
姉の部屋には誰もいませんでした。

確かに何の物音もしなかったし、
見間違え?と半ば自分に言い聞かせるように
また携帯をいじりました。

するとすぐに姉の部屋に
誰かが入ってきたシルエットが映りました。

今度は見間違いじゃない!!

そう確信して

「姉でありますように」

と祈りながら
恐る恐るカーテンを捲ると
また誰もいませんでした。

その瞬間
両足首に強烈な痛みが走りました。

「!!!!」

声も出ないくらい痛く
涙が溢れてきました。

するとSさんから着信が入り、
助けを乞うために電話に出ました。

用件を聞く前に泣きながら

「助けて下さい・・足痛いー」

と伝えると

「A落ち着いて聞いて。
俺の部屋に女の霊が居るってきいたことあるよね?」

と話し始めました。

「はい。
・・ていうか痛いってば・・」

と助けを求めてる私に

「そいつが今日帰ったら居ないわけ。
もしかしたら・・Aのところに行ってる・・・」

と追い打ちをかけてきました。

痛みと恐怖で息もできないくらい泣いていると

「もうすぐ着くから外に来て」

と言って電話を切られました。

這うように何とか外に出ると
Sさんが到着し

「俺が浮かれて一緒に居すぎてAに嫉妬したのかも・・・。
ほんとにごめん!!連れて帰るから!」

と塩を渡されました。

Sさんが帰ると同時に足の痛みも消え、
すぐさま部屋に塩をまき散らしました。

それからSさんとは二度と連絡を取るまいと
着信もメールも拒否しました。

Yにはバイトの事情も話していたので
Sさんのことは咎められませんでした。

それ以前にSさんと会うたびに
夜中に外から呼ばれたり
霊媒師だった祖母の遺影を倒されたりと
不吉なことが続くから
自分も会いたくなかったんだよね~と笑ってました。

もう何年も前の話ですが
Sさんにはまだ女の霊が付き添ってるのか、結婚できるのか
他人ごとながら時折思い出しては心配です。

【意味怖】意味がわかると怖い話の最新記事