私の母親の同僚の話です。

彼女の子供さんはもう小学6年生になられるのですが、
その子が小さかった頃のお話。

母の友達は結婚してすぐ妊娠しました。

その妊娠中に
旦那さんが交通事故で亡くなってしまったのです。

彼女はあまりのショックのために倒れてしまい、
お葬式にも参列できませんでした。

子供が生まれて、
ベビーベッドの上にくるくる回転するおもちゃをつるしました。

子供さんはそれを回しても、見向きもせず、
ある一定の方向ばかりを見ていました。

くるくる回転するおもちゃが回っていないときも、
その一定の方向を見て

「きゃっきゃっ」

と笑っていました。

その子が幼稚園に通い出すようになり、
きちんとお父さんのことを話さなければと思った母の友人は、
それまで一度も見せたことがない父親の写真を見せました。

「これがあなたのお父さんよ」

と言うと、その子は

「僕知ってるよ。
お父さん、僕が小さい頃からあそこにいるもん」

と言ったそうです。

うちの母親はオカルトめいた事を信じる方ではありませんが、

「世の中には不思議なこともあるもんだねぇ」

と言っていました。

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