昔勤めていた会社での話。

そこは同系列の別会社と一緒に
大きな部屋を借りて二つに仕切り、
それぞれの社員がドアで出入りできるようにしてあった。

仕切りはどちらの会社の人も通れるように
1m程の隙間が二箇所ほど空けて有り、
昼間私はそこで電話番兼で一般事務の仕事をしていた。

ある日の夕刻いつものように隣の部屋のドアが開く音がしたので
営業の人に渡す電話のメモを手に隙間から隣の部屋へ行った。

が、誰もいない。

確かに靴音はしていたし、
ドアの開く音はしていたのに。

先輩から以前

『この部屋、(そういうのが)出るんだよ』

とは聞かされていたけど、
まさか自分のいる時に出るとは。

当然焦るわ、顔は引きつるわで
他の営業さんが戻るまで無茶苦茶怖かったのは言うまでもない。

しかし、連日とまではいかずとも
何回もそういう事が度重なると人間慣れてくるものらしい。

ドアの音がする度に

「お帰りなさい」
「今日は早かったですね」

と(ややヤケ気味に)声をかけているうちに
その靴音とかはしなくなった。

・・・靴音をさせてドアを開ける音と共に戻ってきていた『彼』は、
今もそこに帰社しているのだろうか?

【意味怖】意味がわかると怖い話の最新記事