とりあえず自分のシャレにならん話を一つ、

当時大学生だった私は
授業の後手に入れたばかりのバイクで
八王子周辺を乗り回すのが日課でした。

その日もいつもと同じ様にバイクに乗って
走りに出かけたのです。

天気がよかったせいか
進路を山の奥へ奥へ進めました、

ご機嫌で乗り回してるうちに

「ここから先私道、林業関係者以外の進入禁止」

といった看板を目にした私は
何故か冒険心が触発され
そこでハンドルをきってしまったのです。

時刻は10月の17時ごろ
西の空に日が沈む間際でした。

その道は舗装もされておらず
輪立ちの間に草が茂り
ただ山中に線を引いたといった感じでした。

しばらく走っていると
段々畑の後らしき人の手を加えられた土地や
年代を感じさせるバスの標識が目に入り
やがてレンガ作りのトンネルを越えた私の目に
小さな集落が飛び込んで来ました。

ヘッドライトだけでは確認は出来ませんが
中央に小川を挟んだ小さな集落で
中心地舗装もされていて
物見やぐらがある建物等が確認できました。

もちろん人など誰一人住んでる気配など無く
しばらく夕闇の中興奮してたと思います。

一通りの探索の後、
今度皆で遊びに来る時のため
道を覚えて帰る途中で急に
「ぷすっ」ってエンジンが止まったのです。

当時はPHSしかもっておらず
確認しなくともまず圏外であることは分かってましたし
こんな山奥でまず一年待っても車が通るか分からない所でのエンストは
酷く私を狼狽させました。

何回かのキックでやっとエンジンがかかったので
胸を撫で下ろして

「いざ出発」

と思ったら
「キィィ」って平地にも関らず
ハンドルが曲がりました。

ヘッドライトに照らし出された先を目にした時、
血の気が引きました。

照らし出された道の脇の草むらの中には
おびただしい数の墓石がひしめいてました。

道など覚えられず
飛んで帰ったのは言うまでもありません。

後日友人とこの幻の集落を探しに来ましたが
見つかりじまいでした。

変わりに荒れ果てた水子地蔵の群れや
ダム建設現場のタコ部屋らしきものを発見しました。

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