中学生の時の話

その頃は家族5人で、
もの凄く狭い社宅に住んでいた。

裏手に病院の廃墟があった。

いつも気になっていたので、
ある日妹と二人で親に内緒で侵入してみる事にした。

塀を乗り越え、病院の中に。

総合病院だったが、
田舎なので平屋の小さい病院だ。

1階をブラブラと探検し始めた。

日もまだ高かったので恐怖感は全く無く、
診察台や、台の上に散らかっているハサミや
色々な器具などを見て歩いた。

「全然怖くなかったねー。」

なんて言いながら、
その晩も特に異常は無し。

ところが数日後、
母が、押入れの布団から
たくさんの腕が伸びて来たのを見たと言った。

父、母とまだ小さい赤ん坊の妹がいる部屋の押入れは
上は布団、下はマットで埋まっていた。

その布団の隙間から
びっしりと腕がにょきにょきと出てきたというのだ。

両親の部屋は丁度病院と同じ方角にあり、
そこを挟んで私たちの部屋があった。

私達姉妹は、
裏手の病院の廃墟を探索した事を告げ、
母に謝った。

霊感の強い人が身内にいる家系なので
そんな話は聞き飽きたのか、
「ふーん。」程度で済んだ。

普段妹と私は2段ベッドで寝ていたが、
怖いので床に布団を並べ、
母の言うとおりに枕の下に刃物を入れて塩を撒いて寝た。

すると真夜中、
両親の部屋にいた妹(赤ん坊)が突然、
蟲が憑いたようになき始めた。

いつも静かで良く寝る子なのに、
変だなと思い半寝状態で目を開けると、
枕元に白い着物を着た女が正座して座っていた。

私は咄嗟に枕の下にあった果物ナイフを手に取り、
女を刺そうとした。

しかし、それを逆手に取られ、
ナイフを自分の胸に刺されてしまった。

ナイフの件は夢だと思うのだが、
隣で寝ていた妹が突然私にしがみ付き、
ガクガクと震えていた。

真夜中で恐怖心もあり、
そのまま黙って何も聞かずに眠ってしまった。

次の日妹に事情を聞くと、
隣の部屋の赤ん坊が泣いた時に、
襖をすり抜けて
白い着物の女がすっとこちらの部屋に飛んできた。

その女は私の枕元に座り、
私の顔が恐怖で強張っていて、
それを見て怖くてしがみ付いた。
との事だった。

刃物でのやり取りは見ていなかったようだが、
怖すぎて夜中に打ち明ける気にはなれなかったとの事。

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