もう十年前になるのかな?

その頃、自分は廃墟マニアで
仲間と一緒にいろいろな廃墟に潜入しては
写真を撮っていた

その年の六月、
友人のUが

『病院の廃墟に行こうぜ』

と言い出した

行き先を聞けば
『○心病院』という所で、
もともと○尾銅山などの人は知っているけど
行かないようなところが趣味の自分は

『なぜ病院の廃墟?』

と思ったけれど、
気にしないで着いていくことにした

○心病院に着いたのは夕方で、
そのため外壁が見えたのだが落書きだらけだった。

ここで初めて知ったのだが
○心病院は有名な心霊スポットだった

比較的国道に近いその病院に侵入するのは夜。

メンツは自分とUとRとI。

そして日が暮れ、
闇に乗じて落書きだらけの病院に
四人で忍び込んだ

病院の中に入ると
一階は割れたガラスとか注射器とかが沢山足もとに散らばっていて、
壁は落書きだらけだった

『おい、こっち来てみろよ』

と受付を物色していたIが呼んできた。

近寄ると汚れてぼろぼろになった診断書などの
モロ個人情報がそのままになっていた。

その後は二人一組で行動。

自分はUと一緒に動くことにした。

Uはまず手術室を見たいと言い出し自分も同意し、
手術室に向かった。

手術室は寒かった、
というのが自分の第一印象だった。

使わなくなった手術台はなんというか、
巨大なまな板を連想させた。

旧型の酸素吸入器であろう機械は
さばいた肉を腐らせないようにする機械に思えたし、
床に散らばっているメスや鉗子はここで手術を行っていた
ということを生々しく想像させた。

『あんまり怖くないね』

手術室を出るとUがこう言いだした。

自分もせっかく夜中に病院に忍び込んだのに
何もないのと、フラッシュがたけないので
あまり写真がとれないいことを少しがっかりしていた

Uと自分は集合するまでの残り一時間程度を
分娩室とか歯科とか病室を回って過ごした

そして集合時間になって一階に行ったのに
RとIがいない。

仕方なく五分そこで待ったのだが
誰かが下りてくる気配はない。

正直、嫌な予感がした。

『携帯に電話したら?』

Uがそう言ったので
Rに電話してみた。

五回ほどコールするとRが出た。

自分「お、遅せぇよ…。
は、早く来いよ…」

自分の声が震えているのが分かった

R『…やべぇ、まじでやべぇよ……』

Rの声も震えていた

自『何かあったのかよ?』

R『ほら、入ってすぐにさ、
受付で診断書見つけただろ…?
その中にな、十七歳の子のがあったんだよ……
集合する前に寄ったんだよ……』

明らか怯えている

自『おい、Iはそこいるのか?』

R『……そしたらさ、
そこに人がいたんだよ…』

無視して続ける

R『……でも人じゃなくて人の形をした影みたいだった……
俺たちに気づいたら一瞬で消えたんだ…。』

自『おい、Iはどうしたんだ?』

R『…わからない』

ようやくここで自分の質問に答える

自『わからないってどういうことだよ……?
つか、迎えに行くから場所教えろ』

R『Iは先にそっちに向かったと思う……。
場所は三階の隔離病室…』

ここで電話を切った。

そして自分はUとそこに向かうことにした

エレベーターが動いているはずもないので、
三階まで会談で登って、
いざ隔離病室に行こうとしたところでUが言った。

『足音が一つ多い気がする』

冗談だと思って一歩踏み出したら、
足音というより何かが引きずられてるような音がした。

Uは夜中に廃墟に侵入するので
カメラではなくビデオカメラを持っていた。

階段を上っている最中、
ずっと後ろに向けて撮っていたらしい。

目の前のナースセンターの前の待合室みたいな広い場所で確認すると、
何か影みたいなものがついてきてた

U『…これって、
さっきRが言っていたのじゃない…?』

自『ああ……、はやくR連れて帰ろうぜ…』

この時、
もう自分だけでも早く逃げ出したかった。

だけどそれをしなかったのはたぶん、
複数人で行動すれば助かる確率も上がる、
という理由だった

隔離病室の中に入っても
Rはすぐに見つからなかった。

天井から吊るされていたらしいビニールは床に落ち、
壁にはスプレーででかでかと落書き、
ベッドは倒れていて、
床には注射機とか機械がが倒れていたり、
その部屋で昔治療を受けていたであろう
十七歳の女の子の熊のぬいぐるみが落ちていた。

Rは倒れたベッドの向こう側で目を瞑り、
耳をふさぎながらしきりに

『ごめんね、ごめんね』

と誰かに謝っていた

自『おいR!大丈夫か!?早く逃げようぜ!』

R『……う、うん。でもIが…』

自『知るか!先に逃げたんだろ!?
おいてかれたいのか!?』

R『わ、わかった……』

Rを立たせて、
部屋を出ようとすると
ソレは病室の前にいた

R『……ごめん…許してよ…うううううう……』

U『ひいっ………』

影に向かって謝りだすR、
恐怖で間抜けな声が出すU

自分は声は出さなかった
(もしかしたら出していたかもしれないけど)が、
二人と一緒で恐怖で動けなかった

影が歩を進めてきた、
一瞬で我に返った

自分は持っていたカメラを
影に向けてフラッシュをたいた

一回、二回、三回、四回……

何回かフラッシュをたいたところで
UとRの手を取って、
覚悟を決め病室をとび出した

その後どうやって外に出たのかは覚えていない

UとRの話だと二人の手を掴んだ自分は
文字通り二人を引きずるようにして外に出たらしい。

結局Iは行方不明。

警察に連絡し、
捜索したところ地下の霊安室の階段前で
比較的新しい血だまりと
Iの携帯電話だけが見つかった。

結局、その血がIのものなのかはわからない。

Rになぜあんなことになったのか聞くと、
見つけた診断書の名前が病院の情報を探しているときに
医療ミスで亡くなった女の子の名前だったらしくて
興味本位で行ったら、あんなことになってしまった、らしい。

自分がカメラを向けて撮った影も
Uがビデオに映した影の正体もいまだ知れない

これが俺が十年前に体験した、心霊現象。

たぶん気づいてる人もいるけど
○心病院は厚木インター近くの廃病院――ではないから注意!

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