私が以前付きあっていた彼は、
急性白血病でこの世を去りました。
病気の進行が早かった為、治療は無菌室で行い、
外部との接触も遮断され、会えない日が続きました。
薬の副作用が日に日に彼の体力を消耗させていくようでした。
ある日の夢です。
広くて明るい真っ白な病室のベッドに彼が横たわっています。
そこはもう無菌室ではなく、
静かで誰もいない病室です。
私はベッド脇に座って、眠っている彼の手をとり、
自分の膝の上に載せた洗面器の水で彼の手をさらさらと洗っています。
彼は白いパジャマを着て、
手を洗われていても終始、
目を開けることはありませんでした。
夢の中ではとても穏やかな気持ちでいられたのに、
はっと目を覚ますと私は泣いていました。
暫くして彼の訃報が届きました。
彼の死後、
私はしばらく気持ちが滅入って、
鬱々と過ごす日が続きました。
気力もなく、
暇さえあれば彼との思い出をたぐってばかりでした。
ある日、
『俺、いつか犬を飼いたいんだよ』
と言っていた彼の言葉を思い出しました。
(でも彼はマンションに住んでいたので、
その夢が叶いませんでした)
私は動物好きでしたし、
犬を家族の一員に迎えることで
彼の夢を共有したかったのかもしれません。
親に相談しても、
別に反対されませんでした。
(うちの親は、彼を亡くした悲しみから一刻でも早く、
私が立ち直ることを犬に託していたようです)
動物管理センタやいくつかのツテをたどり、
♂の子犬と出会いました。
沢山の子犬の中から第一印象で、
『この子!』と決めましたが、
あとで聞いたところによると、
その子犬の誕生日というのは、
奇しくも彼が亡くなった日と一致していました。
今では天国の彼が私を元気づけるために、
子犬と巡り合わせてくれたのかなあと思いながら、
毎年愛犬の誕生日を祝っています。
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コメント
コメント一覧 (11)
ペットショップじゃないところが惚れた!
いじめられたり苦しむばかりの運勢のヒトに生まれるよりは、確実に可愛がられる畜生の方がずっと幸せだと思うけどね。
人間が肉を食べると同様にペットを飼うのも
原始時代からの人間の本能なのでペットショップを否定してはいけません。牛や豚を食べる方が残酷で可哀想なのです。
彼は嫌だったのかもしれないですね。
クソだな、お前
シナモン「儂、戦国の覇者であるぞ〜」