四人の学生が立て続けに不幸に見舞われた。

まるで映画のファイナル・デスティネーションみたいに。

そんな噂話を聞いたのは、
僕が高校二年生の時です。

一人が交通事故、
二人目が難病、
三人目が自殺、
四人目が行方不明。

これが一年間くらいのうちに起こり、
関係者の知れるところとなったそうです。

僕は友人から聞いたのですが、
その友人の同級生が、
行方不明になった学生の弟でした。

二十歳そこそこの若者が亡くなることじたい不幸だと思いますが、
関係者以外誰も四人の関連性に気づく人はいませんでした。

同じ大学に通う学生で、
あるサークル内の者が二人、
彼らは交通事故と自殺で亡くなりましたが、
その他の二人は専門学校の学生で、
元バイト仲間だったそうです。

四人の共通点は何度か集まってゲームをしたくらいで、
いったい何があったかまでは分からないとのことでした。

難病で入院している学生は家族以外面会謝絶で、
集中治療室にいるらしく、
失踪した学生のことも聞けない状態だったとか。

僕も友人も彼らの間で何が起こったか
想像するしかありませんでしたが、
これといった推理ができるわけでもなく、
噂話で終わってしまいました。

その後僕は他県の大学に進学し、
噂話をした友人○藤とも疎遠になっていましたが、
ある年の夏休み、ニ年ぶりに再会しました。

地元のショッピングモールでばったり出くわし、
その夜数人の同級生を呼んで飲み会となりました。

何のきっかけだったか、
○藤がふいにニ年前の噂話について話し出しました。

あの中学の時の同級生○村は、
同じ大学で学部も一緒とのことでした。

結局○村の兄は
自宅近くの公園で首を吊って自殺したようで、
もう四人とも亡くなったそうです。

「じゃあ謎のままなんだ」

と僕がいうと、
○藤ではなく、
隣にいた○田が話し出しました。

「祟りとか、呪いみたいなもんだな」

○田は大学のサークルで語り継がれている話だと前置きを入れ、
○藤の話を引き継ぎました。

「四人は二日間だけ、
ある場所でバイトをしたそうだ。
そこで何かがあったらしい。
その数日後、一人が交通事故で死亡したみたいだ」

「そこがどこなのか○村は知ってる。
でも祟りが怖いみたいで、
決して話そうとしない」

今度は○藤が言いました。

「バイトっていうのは、
ある慰霊碑の清掃なんだ」

二人の話によると、
事の起こりは、
終戦前後の地震にまで遡るとのことでした。

戦争から復員したある人が、
自分の生まれ故郷の集落が地震によって壊滅し、
村人が全員亡くなったことを知ったそうです。

数年後、
事業が成功したことすを契機に、
その跡地に慰霊碑を建立しました。

しかし何十年か経ち、
付近の集落がすっかり廃村となり、
管理する人が絶えたとのことです。

慰霊碑を立てた経営者一族が
しばらく管理していたようですが、
年に二度、社員が慰霊碑を清掃して
花と線香を供えるようになったそうです。

その社員の家族が、
交通事故で亡くなった学生だったらしいです。

慰霊碑がある場所に行けば、
四人の降りかかった呪いの謎が解明できるかもしれません。

しかし○村によれば、
慰霊碑自体があるお寺に移され、
その場所が立ち入り禁止になっているとのことでした。

それ以上のことは分かりませんが、
本当に呪いや祟りがある場所は封印されるのかもしれません。

あと、なぜ○村が慰霊碑があった場所を知っているかというと、
その近くに有名な心霊スポットがあり、
四人がかつてそこを訪れたという噂話を聞き、
○藤と二人で確かめに行った時のことです。

昼間、車で付近を流していたら、
ふい道路の真ん中に男が現れ、
道を塞いだそうです。

○藤は○村が何もない場所で
いきなり急ブレーキを踏み込んだので、
驚いて問いかけると、
○村は真っ青な顔で、

「今、兄貴が飛び出してきた」

と震えていたとか。

○藤には何も見えなかったそうですが、
どこから現れたか訊ねると、
○村は何も答えず、
その場から慌てて逃げ出したそうです。

多分その近辺に慰霊碑へ入る道があると思うけど、
行ったとしても思い出せないだろうなと話していました。

霊感のない僕ですが、
絶対に近づきたくないと思いました。

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