おれの地元の中学校の話です。

各学年に3クラスしかない田舎の中学校なのですが、
一年生に少し知恵遅れ気味の男の子がいました。

仮にAとしておきます。

田舎なので特別クラスとかもなく
普通にクラスに混じっていましたが
クラスメイトからのいじめもなく
上手くやっていたそうです。

それでも昼休みはいつも一人で、
外で球技をする生徒や
教室で談笑する生徒には混ざっていませんでした。

仲間外れとかではなく、
Aは昼休みになると
いつも学校の来客用玄関にある
大きな振り子時計の前に座っているのでした。

通りかかる先生が聞いた所によると
「おもしろいから」だそうです。

悪さをするわけでもなく
ただ座って眺めているだけなので
誰も気にしていませんでした。

Aが入学してから半年くらいした頃、
学校でその振り子時計が処分される事になりました。

かろうじて動いているものの金属部分は錆びていて
木製の部分もボロボロになっている為との事でした。

先生達も生徒達も

「あーそうなんだー」

とか

「残念ねー」

くらいのものでした。

Aを除いては。

その話を全校集会で知ったAは
むちゃくちゃな事を叫びながら泣いてわめきました。

それからというもの、
お昼の12時に鳴る振り子時計のボーンボーンという音が教室に聞こえると
突然立ち上がって言葉ではない雄叫びのような声で毎日叫ぶのでした。

それから更にエスカレートし、
昼休み以外の授業中にも
振り子時計の前に座っている事が多くなりました。

その度に保健室に連れて行かれて
親が迎えに来て帰るというパターンが続き、
しまいには入院するという事で学校に来なくなりました。

その数週間後、
振り子時計は撤去されました。

Aは入院中で
その事を知る術はありませんでした。

お見舞いに行こうという生徒もいましたが
親御さんに来ないでほしいと言われていると
先生が生徒に注意した為です。

それから冬になる頃、
Aが退院したらしく登校してきました。

偏見などなく
温かくAを迎え入れるつもりのクラスメイトでしたが、
Aの姿を見て驚愕しました。

Aの顔の左半分だけが
別人のようになっていたのです。

右半分は以前のAの顔のままでしたが、
左半分だけが面影もないくらい変わっていました。

変わっていたというより、
目と口が吊り上がっていたのです。

左目が何かで引っ張っているのではないかというくらい吊り上がり、
口も左側だけが肉食の哺乳類のように裂けて吊り上がっていました。

それはもうまさに狐の顔でした。

それからAはクラスメイトの目に耐えきれず
転校していきました。

その後の事は誰も知りません。

Aは振り子時計に憑いていた狐に魅入られたのでしょうか?

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