小学生の頃風邪を引いて学校を休んだのね。

両親は仕事にいった。

まだ朝だったか薬を飲んで
2階の自室のベッドでずっと横になっていたんだけど、
誰かがやって来た音がして、
家のドアをノックしたんだ。

「新聞屋で~す。○×新聞で~す。△○さ~ん!」

当然応答はしなかった。

3回ほど繰り返して
新聞屋は諦めて帰っていった様子。

それからしばらく寝ていたんだけど、
誰かが来た音でふと目が覚めた。

ちょうど昼間。

時計で確認した。

「○□新聞で~す」

と聞こえたが、
さっきのように大きい声でなく小さめに、
ノックもしなかった。

なんだろう?と思っていると、
新聞屋が会話をし始めた。

複数人いるっぽく、
少なくとも2人の声が聞こえてて小声で話をしている。

会話を始めたと思いきや、
いきなり家の敷地に入り始めたんだわ。

ちなみに私の家は、
家を囲うようにフェンスがあり、
一周砂利で覆っていて、
防犯と雑草対策がしてあるんだけど、
家の敷地に入ると当然砂利の音がするんだ。

だから敷地に入ったとわかったんだけど。

新聞屋が1人、
家の裏手の方まで歩いていったような音がして、
さすがにちょっと恐くなった。

それから更に恐かったのが、
そのまま一切音がしなくなったこと。

引き返すならまた砂利の音がするし、
フェンスを越えたような音もしない。

家に入ってきた様な音もしない。

2階からは目視出来ないのでよくわからなかった。

確認できたのは新聞屋の車は無かったことだけ。

すぐに出ていくのかなと思っていただけに、
パニックになりそうだったよ。

風邪で寝込んだせいで、
夢と現実の区別がついてないだけで
もともと誰も来ていないのかなとか思ったりしながらも、
じっと耳は澄ましてた。

とにかく怖かったけど気になって、
恐る恐る1階に降りて確認したけど何もなかった。

幻だったっぽい。

その後は1階でテレビ付けて寝てた。

それから数日後、
隣の家に空き巣が入って警察が来てたって聞いた。

当時はバカだったので
ウチじゃなくて良かったぐらいにしか思わなかったけど。

って言うか新聞屋さん、
インターホンを押しておくれ。

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