1971年、
岩手県は雫石で起こった旅客機と
自衛隊演習機との空中衝突事故。

かの『慰霊の森』は
この事故の犠牲者を弔うためのものである

旅客機の機体は空中で衝突を食らったため、
中にいた旅客162名を空中にまき散らしながら四散し、
その全員が死亡したとのことである

そのため、
事故当日は雫石の全域に
「生きた人間」が降り注ぐという
前代未聞の惨劇が起こり、
その多くが極めて凄惨な状態で発見されたという

で、本題。

この間、私の姉が盛岡で飲んでいると、
近くの席でやんややんやと盛り上がっていた若い男達がいた

その内の一人、
話を聞くに雫石町みんであるという若い男が、
件の雫石飛行機事故のことを語りだしたのだという

「いやね、
あの日のことは母からよく聞いてるんですけれど、
あの日は本当にひどかったんだそうです。
人間の体ってね、
マッチに使われるのと同じリンを含んでるから、
体が燃えるとその炎は青色になるんだそうです。

事故が起こったとき、物凄い爆音が聞こえて、
雫石の人たちが空を見上げると、
空中を何かがキラキラ青く光りながら落ちてくる。
それがあんまりにもキレイなもんだから、
みんな『まさか天使じゃないか』みたいなことを言いながら、
その光が落ちた方向に野次馬根性で行ったそうなんです。

そして、結果的に多くの人間が墜落死した人間の遺体を見た。
もうトラウマですよね。
事故の爆音は遠く花巻でも聞こえたそうですよ。
遺体が多く降り注いだ安庭小学校も、
その事件を期に立て替えられて今は別の場所に立ってんですよね」

耳をそばだててた姉だけでなく、
その男と一緒に飲んでいた男たちですら、
シーンと静まり返ったのが印象的だったという

「でも、雫石の人間はたぶん、
あの事故のことも、慰霊の森のことも、
思ったより気にしてませんよ。。
慰霊の森の幽霊騒ぎなんてのは、
俺らからしたら眉唾です。
あの光景より恐ろしいもんなんかないって
お母さんが言ってましたし」

若い男はそう語り終えた。

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