最近体験した怖かった出来事を一つ。

なんら刺激のない毎日の、
更になんら刺激のない平日。

夜、俺は真っ暗な自分の部屋で寝てたんだ。

夜寝るときは豆球も点けない全消し派の俺、
本当に完全な闇の中でいつも寝てた。

その日は別になんともない一日だったんだけど、
疲れきっていて夢を見た。

夢の中で俺は誰かを追いかけているんだけど、
相手が異様で、見たこともないおばさんだった。

細い体型の40代くらいのおばさんで、
ほんとに知らない人。

なんでか顔は見えないんだけど。

しかも場所はその人に似つかわないような
綺麗な一面の花畑で(今思うと失礼)、
こっちも全力で走っているんだけど
その花に足を取られて追いかけづらい。

その上背景が真っ白で・・・
真っ白というか、
言うなれば強烈な光で照らされているようだった。

そんなんですごい走りにくいんだけど、
俺はその夢の中のおばさんに(理由は分からんが)
どうしても追いつかないといけない。

必死になって白い光の中をおばさんめがけて走っていた。

おばさんはこちらを向きもせず前を向いて逃げている。

しかし、俺も負けじと走っていると
そのうち徐々に追いついてきた。

何秒も走ってなかったように思う。

まあ、相手はおばさんだし、そら追いつくわ。

もう手を伸ばせば届く!
というところで
なんとさっきまで一目散に走っていた女の人が
こっちに振り返ろうとした。

もうすぐ顔が見える!

やっと追いついた!

・・・となぜかそう思ったところで、
さっきまで眩しかった世界が急に真っ暗になった。

どうやら目が覚めて
自分の部屋に戻ってきたようだ。

目覚めは悪かったけど、
金縛りなんかもなかった。

一応目を開いたまま辺りを確認する。

真っ暗でよく見えないんだけど、
なんだかいつもより部屋が暗いようにも感じた。

まあ、夢の内容自体、
不思議ではあるが怖いものではなかったので、
気分は落ち着いていたように思う。

そんなわけでそれからすぐにまた寝ようとして
体勢も変えずに目を瞑った。

すると、本当に不意をつくように、
なんの前触れもなく。

目の前に白い顔した女の人が
狂ったような表情で姿を現した。

俺は悲鳴を上げる暇もなく
あわてて目を開けた。

すると、なんと不思議なことに
女の人の顔は見えなくなったのだ。

そこで、
まだ心臓がドキドキ言ってる俺の頭に、
ある疑問が湧いてくる。

(なんで今目を瞑った瞬間に見えたんだ!?普通逆だろ!?)

しかし俺はその理由を一瞬で悟ることになる。

目を瞑った途端に見えたのは、
なんとなく見覚えのある光景だったからだ。

ちょっと伝わりにくいけど、
みんなにも分かるかな。

目を開けて強い光をじーっと見た後すぐ目を瞑ると、
光の残像が白く残って見えるよな。

瞼の裏に残るような白いやつ。

光が強ければ強いほど、白く残るあれ。

専門用語とかあるんだろうけど知らん。

あの女の人のどアップは、
その目を閉じた時の白い残像だったんだ。

幽霊の見え方は多々あるけど、
あんなのは聞いたことがなかった。

しかも俺は、
光源なんてひとつもない真っ暗な部屋で、
目を瞑って寝ていたのに。

【意味怖】意味がわかると怖い話の最新記事