前に木の陰から覗く女の子の話を書いたんだけど、
今度は後輩自身の話を書く。

後輩が小6の時の話。

後輩は学習塾に通っていて
帰りが遅くなる事があった。

今なら親が迎えに行ったりするんだろうが、
その頃は小3の弟と一緒に家まで帰っていたそうだ。

その日も塾が終わり、
辺りが暗くなっている中、
弟と二人で家まで歩いていた。

帰り道は家の近くの大きな霊園の周囲を回り込む道を通る。

霊園は道路より高い位置にあるので
道路の右側が壁の様になっていて、
その上に霊園の土地がある。

いつものようにそこを歩き、
霊園に沿う様に道を右に曲がった。

すると、
いつもは壁になっている右側が
何故か階段状になっている。

しかも階段状の部分には沢山の赤ん坊が座り、
その真ん中に一人の太った男がうつむいて立っていた。

後輩は怖かったが、
弟の前なので平静を装って
なるべくそちらを見ない様に歩いた。

弟も泣きそうになりながら
黙って歩く。

そして次の曲がり角を右に曲がった。

また壁のはずの場所が
階段状になっていた。

赤ん坊は居なかったが、
階段の一番上に後輩と同じくらいの歳の男の子が
一人立っている。

後輩曰く、
見た目は普通の子供だが
生きている人間じゃないのが
何故かわかったらしい。

今度も黙って歩こうとしたが、
突然声を掛けられた。

「遊ぼうよ」

思わず立ち止まり上を見上げると、
男の子はこちらを見ている。

「遊ぼうよ」

また話しかけられたが、
怖くて何も言えなかった。

暫く沈黙が続き、
もう限界だったのか弟が泣き出した。

すると、男の子は

「あの事、
謝っておいてくれよな」

そう言って壁の向こう側に消えた。

後輩は泣く弟を引っ張りながら
家まで帰ったそうだ。

翌日、
明るい時間に同じ道を見に行ったが
壁は普通に壁で、
それ以降階段状になっている事はなかった。

「何を誰に謝って欲しかったんすかね」

後輩は男の子に見覚えも無いし、

「あの事、謝っておいてくれよな」

と言う言葉にも全く心当たりは無いらしい。

そして今思えば、
暗かったのに男の子の姿がはっきり見えたのも不思議ですよね
と言っていた。

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