母の知り合いの弟の20年位前の話。

地元のとある私鉄の線路沿いの借家に、
弟さんは一人暮らしをし始めた。

平屋建ての小さな古い一軒家で、
すぐ横はフェンスを挟んで線路のためか、
とても安かった。

田舎なので電車の本数は少なく、
夜もあまり通らないので
騒音はあまり気にならなかったそうだ。

引越して数日たった夜、
敷地内の砂利を踏む様な音に弟さんは目を覚ました。

泥棒かと確認しようかとも思ったそうなのだが、
施錠をしっかりしてあり安心だったので、
仕事の疲れもありその日はそのまま寝たそうだ。

数日後、
また夜にあの音が聞こえた。

また無視をしようかとしたが、
おかしなことに気がついた。

歩いているというより、
ずっているような音だった。

奇妙に感じ、
音の聞こえる方をサッシ越しにみた。

数メートル先の砂利の上を、
下半身の無い人が這っていた。

ぐるぐるとその場を回っている。

驚いて弟さんは悲鳴を上げてしまった。

するとそれが此方を向いた。

パニックになった弟さんはカーテンをしめ、
ベッドに戻り布団を被った。

気がつくと外の音は無くなっていた。

ズサッ…

部屋の中から聞こえる。

弟さんは布団の隙間から
音のする方を恐る恐る見た。

あれは部屋の中に入って来ていた。

老夫が上半身のみの姿で
ニタニタ笑いながら這いずり回っていた。

弟さんは、
あまりの恐ろしさに震えながら布団の中で耐え続けた。

朝方になり音は消えた。

だがそれは時々出て、
ただ這いずり回るだけなので、
弟さんは2年間そこに住み続けた。

【意味怖】意味がわかると怖い話の最新記事