当時家を買おうとしていた私たち家族は、
不動産屋に特選物件という中古住宅を紹介されました。

立地もよく、広くてしっかりしたつくりの家で、
相場よりもかなり安く、心が動きました。

ただ気になったことがありました。

当時3歳だった下の娘が、内見のときに

「このお家怖い」

と言ってひどくおびえたのです。

特に、特定の部屋に入るのを怖がり
(その部屋は日当たりのよい、何の変哲もない洋間でした)

「お部屋の中におばちゃんがいて
怖い顔で見てる」

などと言うのです。

契約当日になって不安になり、
念のため、地元で有名な霊感のあるという人に
見てもらいました。

娘の言葉などは伝えず、

「家を買うつもりなので念のために見て下さい」

とだけ言い、その家につれて行きました。

その霊能力者の人は、家を一目見て

「買うのはやめたほうがいいよ」

と言いました。

「どうしてですか」

「あそこの部屋にね、
人がいて、あなた達が来るのを拒んでいる」

その霊能力者の人が指差した部屋は
娘がおびえて入ろうとしなかった部屋でした。

娘は

「おばちゃんとおじちゃんとおねえちゃんがいる」

と言っていましたが、
霊能力者の方も同じことを言いました。

「除霊できますか」

と聞いたら

「出来るけどすごく大変」

という答え。

その家はすぐ近くに斎場、神社などがあり、
いわゆる「霊道」になっているとのことでした。

そして内見を終えて玄関から出たとき
足がすくむ出来事がありました。

玄関の前の地面に
錆びた包丁が突き刺さっていたのです。

入るときはそれはありませんでした。

誰かのいたずらだろう、
と思いながらもぞっとしていると
霊能力者の方が

「警告かも」

と言いました。

そして振り向いた妻が
ひどくおびえた顔になり

「見た・・・」

と。

例の部屋の窓際に、
男女の姿を見たというのです。

結局買うのを止めました。

売主にはかなり嫌味を言われました。

ただ不動産屋の担当者が

「実は・・」

と言って後でいろいろ教えてくれました。

曰く、前の住人がばらばらに離散していること、
敷地内に祠があったのをつぶして建てた家であること、
などです。

私自身は最後まで、誰かいる、
とは感じませんでした。

ただ、嫌な感じはずっとしていました。

その家は破格の値段ながら、
そのあともずっと買い手がつかず
1年以上空家になったままでしたが、
最近見に行ってみたら入居されてました。

家の周りには花が飾られ、
感じが明るくなっていましたが、
妻と娘は

「やっぱり怖い」

と言っていました。

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