友人の家の話。

四国の田舎出身なんだけど、
今は上京してバンドやってるのね。

そいつ、男で綺麗な黒髪ロングだったんだけど、
こないだ久しぶりに会ったら、
バッサリと髪を切っていた。

物凄く拘り持ってたから(尊敬するミュージシャンの真似だった)、
不思議に思って聞いたら、以下の話。

そいつの実家(織物関係)では、
男は髪を肩より下に伸ばしてはいけないらしい。

それに加えて、
切った髪は神棚に上げなきゃならない。

これは先祖代々っていうのとは少し違って、
五代前より以前は逆に、
男は髪を肩より少し下まで伸ばす慣わしだったそうで。
五代前の時に何か妙なことがあって、
慣わしが逆転したと。

で、友人はそんな風習知ったこっちゃねえよと、
上京してから髪伸ばしてたのね。

家から、

「髪切って溜まったら送れ」

と言われてたらしいけど、

「そんな気味悪いこと出来るか!」

とスルーして。

そもそも切ってないし。

それで髪を伸ばし続けていたら、
肩や背中が痛むようになった。

肩こりとか疲労って感じじゃなくて、
刃物でザクザク刺されたような痛みが走ったそうだ。

酷いときだと、
内臓まで刻まれるような痛みがしたんだと。

バイト&一人暮らし&バンド活動で、
疲れてるせいだと気にしないようにしてたけど、
痛みのせいで一日寝て過ごすこともあったとのこと。
(金が無いから医者には行けなかったらしい)

そうしたらある日、
彼女がそいつの背中を見て、

「何これ!」

と悲鳴を上げた。

髪の毛が伸びていたあたり(腰近く)まで、
背中に物凄い痣が出来ていたらしい。

たとえるなら、
もののけ姫の祟り神の呪いみたいな、
赤黒いのが背中一面に。

彼女に写真撮って見せて貰って、
流石にゾッとして、
医者へ行くことは思いつかなくて、
その日の内に自宅で自分で髪の毛を切ったそうだ。

切った髪も
(適当にカットして長さ誤魔化して)
実家に送った。

そうしたら、痛みは無くなったし、
痣も一週間くらいで消えたという。

余談だけど、

「髪切ったら彼女に振られた」

と、そいつは嘆いていた。

まあ、彼女が幻滅してもおかしくないくらい、
綺麗な黒髪だったなあ。

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