目の端をさ、
なにかがチラチラとすることってあるよね。

なんだかよくわからないんだけど。

川崎の私鉄の下り方面のホーム、
降りる駅の階段が後の方だから、
そっちの後の方のベンチに座っていたときのこと。

珍しく遅くなって夜11時頃になってしまっていた。

電車がくるまで5分くらいかなあ、
とか思いながら背をまるめて地面を見ていた。

すると、革靴のくるぶしから先、
灰色のズボンのすそが目の端に見えた。

なぜかちょっと前の黄色い線のあたりを
行ったり来たりしていた。

ゆっくりめに行ったり来たり。

何か迷っているように行ったり来たり。

ふっと顔をあげてみると、誰もいない。

革靴もない。

あれっと思ったけど、
疲れてたから見間違いと思った。

また背をまるめて地面を見ていると、
また確かに靴がチラっと見えた。

ゆっくりと左から右へ。

えっと思って、
また顔を上げるても誰もいない。

一瞬、背筋が凍り付いた。

すぐに立ち上がって先頭車両のあたりのホームまで行って、
立ったまま電車を待った。

たぶん、怖い顔をしていたと思う。

電車がきて下を向いたまま乗り込んだ。

あの靴は何を迷っていたんだろうか。

決心がついたら立ち止まるんだろうか。

俺はそれがとても怖い。

立ち止まったらどうするんだろう。

まさか線路の方を向いて電車がきたら…
俺は本当にそれが怖い。

それとも事はすでに済んでしまっているんだろうか。

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