帰省のため、
福岡行きの新幹線に乗っていた。

その客車は、かなり空いていた。

新横浜で一人のおばさんが乗り込み、
通路向こうの席に座った。

おばさんは
隣の女性にしきりに何か訴えはじめた。

様子が明らかに変だ。

おばさんは、
寝巻きのまま飛出して来たような服装で
ピンクの汚れたスリッパを履いている。

話のほうも支離滅裂で、
なんとか聞き取れたのは、

「京都のお寺に逃げ込む」
「夜眠れない」
「眠ると真っ赤な小人が大勢やってきて、
家をガタガタ揺らすのだ」

ということ。

話すうちに恐怖がよみがえり、
半狂乱になっていく。

私と隣の女性がなんとか落ち着かせた。

安心したのか、
おばさんは眠気を訴え始めた

京都に着いたら起こしてくれ、
と何度も懇願しながら
おばさんは、眠りに着いた。

しばらくして、おばさんがうなされ始めた。

うわ言を繰り返す。

「こわい、やめて。かんべんして。ゆらさないで…」

その頃には、
恐怖は完全に我々にも感染していた。

凍りついた我々を乗せて新幹線は、
西へと、疾走していく…。

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