当時大学入学で上京してきた私は
とある地区の女子学生会館に入館しました。

7階に住んでいました。

音楽をやっていたので、
別館の練習室も借りてました。

その練習室、
本館とは長い渡り廊下で続いているのですが、
何だか異様に無気味なんです。

誰もがそこで上半身だけの女性を見た、
ベランダのない練習室の窓から女の人が覗いていた
といったことを言っていました。

正直私はその手のことはまったく信じておらず、
いや、怖いのでなるべく触らぬように
人生を過ごしてきたタイプでして。

なんですけど、
ついに私自身も経験することになってしまったんです。

次の日が実技試験だという前の晩に、
そろそろ12時をまわろうかという時刻。

私は最後の悪あがきをしてました
(関係ないですけど試験はぼろぼろでした)

その時、
他の練習室からたくさん聴こえてきていたはずの楽器の音が
突然聴こえなくなりました。

みんな練習をやめて
部屋を出ていったのかとも思い、
最初は気にもしていなかったんですけど、
気を取り直して練習しようとしたその時に、
ドアがノックされました。

訪問者はよくあることなので
何の気なしにドアを開けたんですけど、
そこには友人のIさんが真っ青な顔をして立っていました。

彼女はこう言いました。

「窓の外に手が…」

それを聞いた瞬間私も背筋がゾッとしました。

私は彼女にこう言いました。

「今まで音なってたよね?
みんな帰っちゃったのかな」

すると彼女は恐怖に顔を歪めながら

「…Kちゃん(私)とわたしだけじゃなかったの…?」

いよいよ気味が悪くなった私は
Iさんを連れて本館へ戻ろうとしました。

その時自分の部屋の窓など
振り返りもしませんでした。

絶対にそういうの見るの嫌だったので。

でも失敗してしまったんです。

その本館と別館を繋ぐ渡り廊下の途中で
一ケ所クの字に折れる場所があり、
そこにはめこみの窓がついています。

場所は地上から数えると2階分あり、
ベランダもありません。

その窓をIさんと私は無視して
ただひたすらに通り過ぎたその時でした。

「コンコン」

叩いてるんです、誰かが。

窓を1メートルほど離れた場所で、
凍り付いて動かなくなった私達に、
さらに追い討ちをかけるように

「コンコンコン」

振り向いてはいけないと、
頭の中で警告が鳴ってたのですが、
行動は正反対となり、
Iさんと二人でしっかり振り向いてしまいました。

その窓には長い髪の、
首から上だけの口から血を流して
狂気の嘲笑を浮かべている女性が
首しかないのに同じようにちぎれている両腕で
今度は窓を力一杯叩き付けている光景がありました。

今でもあの時の、
ちぎれた両腕が窓を叩く音が忘れられません。

翌月自分はそこを引っ越しました。

Iさんは何だかその日以来、
誰とも口を聞かず、
そのまま彼女も引っ越して行きました。

あとで聞いた話ですが
昔首切り場だったとか。

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